米国=強制収容の記録デジタル化=日系人の生活、検索容易に

 【ロサンゼルス共同】第2次大戦中に「敵性外国人」として強制収容所に送られた日系米国人の生活を克明に伝える写真や収容所内の新聞の記録を、米アリゾナ州立大学の公文書係官がこのほどデジタル化し、世界のどこからでも閲覧や検索、保存することが可能になった。「悲劇を繰り返さないための糧にしてほしい」としている。
 作業を行ったのはロバート・スピンドラー氏(57)。全米10カ所以上に存在した強制収容所のうち、計3万人以上の日系人が収容されていたアリゾナ州内のポストンとヒラリバーの2カ所で出版された新聞計約5千ページ分や写真をデータ化した。
 資料は戦後、日系人ら所有のものを同大と州立図書館で保管していた。デジタル化により、良好な状態での長期保存や検索が可能になった。
 日英2カ国語で書かれたポストン収容所の新聞約3年分の記録からは、所内で開かれた囲碁やダンスの会、婚約発表や訃報など、生活の様子が伝わる。1945年8月22日付紙面では、終戦を迎えて出所する収容者が今後の生活に不安を抱く様子も。「過去を追ふな」という小見出しで、読者に奮起を促した。
 スピンドラー氏は新聞から読み取れる日系人米兵の愛国心に感銘を受けた。祖国である米国に収容所送りにされるという「最悪の環境にもかかわらず、戦線で勇敢に戦った。彼らの犠牲と勇気を米国は忘れてはいけない」と話す。
 トランプ政権下で反移民の動きが高まっていることも作業の大きな動機だった。「全ての人種を受け入れ、公平な正義の下に扱うことが米国の強みだ。強制収容の歴史から私たちはその教訓を学ぶことができる」
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