《ブラジル》第20回日本祭り=地場企業の存在感、顕著に=トヨタはカローラ50周年展=紅茶「天谷」は新商品で勝負

(左から)ブラジル・トヨタのヒカルド・バストス取締役と益岡アンジェラさん

(左から)ブラジル・トヨタのヒカルド・バストス取締役と益岡アンジェラさん

 7~9日に開催された県連主催日本祭りで目玉となったのは企業ブースだ。経済不況により協賛企業が若干数減った一方で、進出企業のみならず、料理講座により販売促進を行ったサクラ醤油など日系人経営の地場企業の姿も目立った。
 1968年製の第一世代カローラを展示し注目を集めていたのは、第1回目日本祭から出展し、14年に亘って協賛してきたトヨタ自動車だ。同社は、会場内で試乗会を開催したほか、主力車種を展示し、同祭20周年に併せて「カローラ50周年記念展」を行った。
 66年に製造販売が開始された同車種は、バンデイランテスに続く第二期の車種。元々は輸入していたが、当地で生産開始し、リカルド・バストス渉外広報部取締役によれば、「今では最も重要な車種で、販売の主力柱に育った」という。
 「日本祭りは従業員やその家族、サプライヤーなどトヨタ・ファミリーが全て参加する祭り。ブラジルの日系移民は歴史的な誇りであり、日系社会との繋がりは重要」との認識を示した。期間中には、移民110周年の運営資金を集めるリッファについて呉屋春美文協会長とも協議したといい、「特別な車種を準備する」と明かした。
 一方で、顧客の反応を見るための試験販売場と同祭りを位置づけ、専用に商品開発をして臨む企業もあった。
 レジストロで製茶工場を営む「天谷」は、カフェテリア「ティー・ケトル」と共同で、当地では珍しい薄荷やレモングラスを配合した緑茶や、ハイビスカスとベルガモットを配合した紅茶などの新商品の試飲を行った。

新商品を販売した天谷の関係者

新商品を販売した天谷の関係者

 かつて〃お茶の都〃として名を馳せ、最盛期には40以上の製茶工場があったレジストロ。だが、1990年頃からの為替変動により国際競争力を失い、当地で栽培加工する企業は現在では、「おばあ茶ん」と同社の二社のみという。
 販売していた笠原マルシオさん(36、二世)は、「大変好評。値段は少し高めだが、売り切れてしまったものもある」と手応え十分だ。試飲した顧客からも「こんな繊細で品質の良い紅茶を飲んだのは初めて」との声も漏れたほど。
 珈琲王国だけに、紅茶文化はまだ親しまれていない。笠原さんは「レジストロで紅茶と緑茶を作っているのは当社だけ。まずは富裕層を照準に高品質のものを提供していきたい」と販路拡大に向けた意気込みを語った。