東西南北

 9年半の実刑判決を受けてブラジルを騒然とさせたルーラ元大統領は、13日にPTの代表者らと共に「自分を大統領選に出させないための策略だ」と反論した。次の裁判の予定がまだはっきりと見えないので、この問題は尾を引きそうだが、ことがルーラ氏だけに、国際世論も引きずりそうな勢いだ。それはルーラ氏に国際的な「左翼側のリーダー」としての側面が強いためで、同氏の友人には周辺の南米諸国の大物政治家や世界的な音楽家や俳優もおり、有事には彼らが黙っていないと思われる。ブラジルではモロ判事への尊敬の念がかなり一般的になっているが、一歩違うところではそうもいかないのがもどかしいところ。
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 そのルーラ氏の騒動に国民の関心が奪われている間をぬうかのように、下院のCCJでは連邦政府の作戦が進み、テメル大統領の告発受付がいつの間にか却下の方向で進みそうな雰囲気に変わってしまった。そう考えると、テメル陣営にとっても今回のルーラ氏の実刑は都合がよかったか。ただ、今回の告発の場合、「ジョエズレイ・バチスタ氏が信用できない」という勢力も下院に少なからずいたのも功を奏した可能性も。むしろ山場は次回以降の告発か。
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 来週から2週間は議会も動かないため、政界を激震させるような動きはとりあえず小休止となりそうだ。ただ、検察庁長官のロドリゴ・ジャノー氏の任期は9月17日までだから、残り2カ月弱で最後の大仕事を仕掛けて来ることも十分に考えられる。来年の大統領選に向けた正式な動きがはじまるのも10月。そこまでに何が起こるか。