《ブラジル》「日系社会と関係強めたい」=田中良生国交省副大臣がブラジル訪問=「日伯の架け橋に」と記帳

慰霊碑を参拝した田中副大臣

慰霊碑を参拝した田中副大臣

 日系5団体との懇談やリオ市交通網視察のため、田中良生国土交通省副大臣(53、埼玉県、自由民主党所属)がブラジルを訪問した。10~15日までメキシコ、ペルー、アルゼンチンを回った同副大臣は15日午後4時にサンパウロ市イビラプエラ公園内にある開拓先没者慰霊碑と日本館を訪問した。ジャパン・ハウス、文協ビル内の移民史料館も見学し、夜には日系5団体との夕食懇談会を行った。16日にはリオ市に飛び次世代型路面電車(LRT)などのリオ五輪のレガシー(遺産)を視察、17日に帰国した。

 慰霊碑に到着した田中副大臣は県連の山田康夫会長から慰霊碑建立の経緯を聞き、献花した後、過去帳の置かれた仏間も参拝した。記帳を終え、在ブラジル埼玉県人会の尾崎眞次会長と歓談した。
 日本館では文協の松尾治副会長らの案内で、庭の見学や錦鯉への餌やり、シェン・リベイロさんの尺八演奏などを楽しんだ。記帳の際は名前の横に「日伯の架け橋に」と書き加えるなど日系社会への期待を伺わせた。松尾副会長から110周年実行委員会の活動が説明され、ロゴマークが印刷された栞を渡されると、「鶴が良いですね」と微笑んだ。
 田中副大臣は取材に対し、「日系5団体との懇談などが今回のブラジル訪問の目的」とした上で「日本政府として日系社会に対する文化・経済的支援を進めたいと考えている」と明かした。当地の日本移民、日系人について「長い間異国の地で苦労し、歴史を作ってきた。誠実に勤勉に努力をしてきた」との印象をのべた。
 来年の移民110周年に関しても、「ぜひまたブラジルの地で日系社会の大きさを見せて欲しい。日本としても日系社会との関わりをさらに強めていきたい」と期待した。
 当地の埼玉県人会は来年創立60周年、ブラジル移民100周年記念を迎えるため、両式典を今年9月に前倒しで行う予定。田中副大臣も埼玉県蕨市出身のため、「県との繋がりを強く持ち、日系社会の47都道府県人会の中でさらに大きな存在感を出すよう、これからも頑張って欲しい」と同県人会を鼓舞した。

 

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 昨年在外邦人に対する販売が一時停止されたジャパン・レールパス。当地の日系人団体、各国の在外邦人が嘆願書をJRグループはじめ国土交通省などに送り、それを受けた佐藤悟駐ブラジル大使(当時)と国交省などの働きかけにより、JRは方針を変え、今年6月から10年以上海外に住む邦人には再び利用できるようになった。ただし、これは東京五輪が行われる2020年末までの特別処置。とはいえ、この処置でも様々な要因で利用できない多くの在外邦人がいる。この問題に関し、田中副大臣は「同パスはJRグループが主体だが、国土交通省としても援助していきたい」と問題解決に前向きな姿勢を見せた。