《ブラジル》ブラジル軍にも日本精神浸透=初防衛駐在官、山内さん離任

送別会の様子(撮影・望月二郎)

送別会の様子(撮影・望月二郎)

 防衛駐在官としてブラジルに初赴任した在ブラリジア大使館駐在の山内徹さん(熊本県、43、一等陸佐)は、3年間の任期を終えて、12日の帰国を前に挨拶のため本紙を訪れた。
 防衛駐在官は各国の在外公館に駐在し、軍事情報収集等を任務とする。現在は44大使館2代表部に合計64名が派遣されている。安倍首相の積極的平和主義のもと、ブラジル赴任第1号として任務を終えた。「ゼロだったブラジルとの防衛分野での交流が開始され、促進、継続されるようになった」と手応えを語った。
 人事交流を主な活動とし、「我が国周辺を取り巻く情勢についてはあまり知られていない。日本の立場を知ってもらうには、交流を通じた相互理解や信頼醸成が不可欠」と意義を強調した。
 交流のなかで「ブラジル軍隊はもともと文化や価値観の違う民族の寄せ集めを指揮しており、そのような集団を束ねる能力に長けている」との印象。だから国連維持活動ではブラジル人が司令官を務める例が多いと見ている。
 ブラジル軍隊でも日系人が中将や少将として存在感を見せるなか「日系人の武官の方々には、公私にわたって大変お世話になった。おかげで他の国では会うのが難しいような地位の人とも頻繁に会うことができた」と謝意を滲ませた。
 「誠実、忍耐といった日本人の精神が軍にも浸透している証拠。日系人の方々が築いて下さった信頼があればこそ任務を行うことができた」と振り返った。「親日国との交流には深い意味がある。交流が更に深くなることを切に願っている」と今後に期待を込めた。なお先月19日には、溝田繁久さん(二等陸佐)が後任として着任した。