《サンパウロ》10平米のマンション発売へ=都市型ライフスタイル層をターゲット?

 昨今ブラジルで増えている、費用を抑えたコンパクトなアパートを望む消費者層をターゲットに、不動産開発会社ヴィタコンが、ラテン・アメリカでも最小スペースの物件を含むマンションを建設すると発表した。
 サンパウロに建設されるマンションには、床面積が10平米しかない物件がある。その価格は9万9千レアル(366万円相当)で、1平米あたり9900レアル(36万6000円相当)となる。サンパウロでは、今年7月時点でのアパートの平米あたりの平均価格は、8680レアル(32万1160円相当)だ。
 パルメイラス―ノーヴァ・イジエノポリスと名づけられたマンションは、サンパウロ市西部のヴィラ・ブアルケに建てられ、111戸が販売される。
 マンション内の全ての物件が同じ面積ではなく、77平米の部屋もある。また、マンションの地上階には商店も入ることになっている。
 このマンションは、共有スペースや共有施設にも特徴がある。その一例は、「コーキッチン」と呼ばれる共用の台所で、談話スペースやちょっとしたパーティースペースとしても使える。また、居住者同士で使えるバイク(自転車)シェアリングなどもあるという。
 ヴィタコンは、このマンションには来客用のスペースやバー付きの映画鑑賞スペース、宅配物管理スペース、ジム、共用の工具類、生体認証ロック機能も備えているとしている。
 ブラジルで、最も都会的なライフスタイルを持つ人々が集る、サンパウロの一等地に、これまで一般的だった「より広いスペースを持ち、物は全て自分で購入して所有」といった価値観とは逆の、「所有は最小限、物より、体験にお金を。毎日使わないものは共同所有で安く上げて、保管の手間もスペースも省略」といった価値観を持つ消費者をターゲットにした物件が現れた事は、ブラジルの消費動向を考える上で象徴的だ。
 このプロジェクトが成功すれば、サンパウロ市内の他の地区(イタイン・ビビ、ピニェイロス、ジャルジンス、タトゥアペ)や、ブラジル国内の他の都市、リオデジャネイロ、ブラジリアなどにも同種のマンションが建てられる可能性もある。(16日付G1サイトより)