《ブラジル》政府負債がGDPの約80%に=22年まで継続して増加とも=州や市の返済遅れが原因=「議会や国民が無理解」とも

フォーリャ紙に掲載されたグラフ

フォーリャ紙に掲載されたグラフ

 ブラジル政府の負債が国内総生産(GDP)の80%近くを占め、負債がGDPに占める割合は向こう4年間は拡大し続けそうだと、19、20日付現地紙が報じている。

 国際通貨基金(IMF)が発表した最新データによると、2016年のブラジルの負債はGDPの78・3%に上っていたことが明らかになった。
 他の新興国では、同年の負債がGDPに占める割合は、インド69・5%、メキシコ58・1%、アルゼンチン51・3%、トルコ29・1%などとされ、ブラジルの負債の割合はこれらの国より圧倒的に高くなっていた。
 IMFによると、この数字は向こう4年間は下がるとは考えられず、2022年にはGDPの87・8%に達すると見られている。
 その間、前述した国の負債の割合は下がるか、もしくは横ばいとみられているので、新興国においては、ブラジルがもっとも深刻な状況に陥っていることが明らかだ。
 先進国まで広げると、日本の239・2%が世界でも群を抜いて高く、イタリアの132・6%や米国の107・4%など、負債の桁が違う国も存在する。だが、これらの国は、政策金利が1%未満の日本をはじめ、低金利国として知られているのに対し、ブラジルの経済基本金利は9・25%と高いため、返済時にかかるインパクトはこれらの国よりも厳しい。
 ブラジルの場合、連邦政府の財源を苦しめているものの一つは州や市の国庫からの借り入れだ。これが計画通りに返却されていない状況が、今後の見通しを困難にし、財源を苦しめている。
 この状況が続くと、政府の基礎的財政収支の悪化は避けられない。現在、連邦政府は、州や市に対して返済計画を提出するよう求める一方で、2017、18年の基礎的財政収支の黒字目標を、両年共に1590億レアルの赤字に改定する意向を発表し、議会の審議を待っている。それまでの赤字上限額は17年1390億レアル、18年1290億レアルだったが、15日に大幅な目標の見直しが行われた。
 GDPに関しては、2018年に2%、2020年には2・6%までの成長が予測されており、それに伴って、州や市からの返済額もあがるのではないかという楽観的な見方もないわけではないが、その確証はない。
 スイス信託銀行の経済部門チーフのニウソン・テイシェイラ氏は20日付フォーリャ紙において、「テメル大統領の次の大統領が就任しても、2022年までの4年の任期中に赤字がゼロになる(黒字に転じる)可能性はない」と予想しており、「このような負債が長引く状況はできる限り早く解決しなければならないが、問題は議会や国民がその必要性を理解していないことだ」と明言。社会保障制度改革に関する審議と承認が大幅に遅れていることなどに警鐘を鳴らしている。