中南米日系社会との連携に関する有識者懇談会報告書=どうなるの?! 日本との絆=コロニア必読の重要な方針=(4)

2014年8月、文協大講堂で講演した安倍総理は、集まった全員と記念写真を撮影した

2014年8月、文協大講堂で講演した安倍総理は、集まった全員と記念写真を撮影した

(2)考慮すべき点

 我が国が中南米日系社会との連携を強化する上で、以下の諸点に考慮すべきと考えられる。
《ア》中南米各国毎、また個々の国内においても、日系社会の歴史的成り立ちや規模、世代状況等の個別の事情が異なることを勘案し、また、海外移住審議会の意見「海外日系人社会との協力に関する今後の政策」平成12年(2000年)も踏まえた取組を実施しつつ、中南米日系社会との連携を進める。
《イ》日本に関心を有し、日系社会活動に恒常的に関与する中南米地域の知日派・親日派も含め連携を進める。また、若い世代をはじめ、日系団体に属しない日系人に対しても発信し、連携の機会を提供する。
《ウ》政府は在外公館等を通じて、日系社会の状況、行事・事業、関心、ニーズを把握し、日系社会と日本の多層的な関係の発展に資するための国内外への情報提供を行う。
《エ》日系社会における日本語の継承を含め、広く中南米における日本語の普及に注力しつつ、英語、スペイン語、ポルトガル語による発信の抜本的強化にも取り組む。
《オ》日本在住の日系人は、今日の日本への理解やそのための発信等を担うことの出来る中南米諸国と日本の重要な架け橋の一つであるとの認識のもと、引き続き彼等に対する取組を進める。

【3】今後の具体的対応策

(1)中南米日系社会の世代を跨いだ発展に資するための施策

 中南米の日系社会を更に発展させ、次の世代に引き継ぐには、周年事業や訪日プログラムを通じて日系団体の再生産と我が国との連携を強化することが重要である。
 また、日系社会の若い世代や日本に関心を持つ非日系人に対して、日本への関心を呼び覚ます施策が求められている。日系社会が世代を超えて更に成長するためには、日系社会が中南米各国において獲得した信頼感、存在感が県人会その他日系諸団体の組織や活動を通じて次の世代に受け渡されると共に、新しい世代が訪日機会の増大等を通じて日本への関心や現地の日系人ネットワークへの関心を育むことを支援したい。
 また、個々の日系社会の実情を踏まえ、小規模の日系社会等には配慮が必要と考えられる他、日本国内においては中南米日系社会の日本への理解を強める取組も重要である。(つづく)