《ブラジル》ビラ・カロン=雨を吹き飛ばせ、おきなわ祭り=2千人が出場、圧巻の演目=1万人がウチナー文化堪能

圧巻の太鼓演奏で盛りあがった会場

圧巻の太鼓演奏で盛りあがった会場

 生憎の雨に見舞われ厳しい冷え込みのなか、二日間でおよそ1万人が沖縄芸能文化に熱狂した。『第15回おきなわ祭り』が沖縄県人会ビラ・カロン支部、沖縄県人会、沖縄文化センターの共催で、19、20両日に同支部会館前の市営サッカー場で開催された。ヒージャー汁など懐かしの郷土食や雑貨などを扱う130のブースで賑わいを見せる一方、総勢二千人を越える出演者による圧巻の演目で来場客を魅了した。

 「〃いちゃりばちょーでー(一度会ったら皆兄弟)〃の精神を感じてもらうことも目的の一つ」。19日午後5時から開催された開会式で、挨拶に立った照屋武吉会長はそう高らかに強調した。「ただ単に沖縄文化を普及させるだけでなく、伝統や習慣、団結や感謝の精神を次世代に伝承することが最大の目的だ」と期待を込めた。
 与那嶺キヨシ実行委員長も「沖縄県系人を多く受入れてくれたこの地域に感謝を表わしたい」と語った。
 当日は関口ひとみ首席領事、呉屋春美文協会長、与儀昭雄援協会長ら日系団体関係者のほか、ジョアン・ドリア市長代理の野村アウレリオサンパウロ市議、太田慶子連邦下議、太田正高、神谷牛太郎両サンパウロ市義らが出席。各界で活躍する沖縄県系人の姿が際立った。
 野村アウレリオ市議は祝辞で「ヒージャー汁は元気のモト」と笑いを誘う場面も。引き続き、鏡開き乾杯が行われた。
 主要舞台では、二日間でおよそ70の演目が行われた。なかでも600人を越えるレキオス芸能同好会と琉球国祭太鼓の演奏や、400人を越える沖縄小林流空手道協会重礼館による形の披露などは圧巻で来場者を釘付けにしていた。
 今回初参加はアルゼンチン沖縄県系三世で医師と二足の草鞋という外間グースさん(37)。第20回県連日本祭りでも熱唱した『時空の花』を披露。同国へ移民し、身を粉にして家族を養ってきた祖父への感謝を込めて作曲された曲だ。
 「なんで僕の顔はこの国の人の顔と違うの」とグースさんが祖父に問いかけるアニメーションから始まる。カーネーション栽培に生涯を捧げた祖父への思いと、日西両語で歌われる美しい旋律に胸を打たれ、多くの若者が客席の前方に集ってきていた。
 会場では沖縄県留学生研修生OB会「うりずん」による文化スペースも好評を博していた。今回の展示のテーマは『沖縄の女性たち』。呉屋会長ら当地で活躍する沖縄県系人の女性15人を取材し、QRコードを読込むとインタビュー映像が見られるというもの。
 新里明副会長(33、二世)は「移民史は、男性の視点から語られることが多いのでは。ブラジルで活躍している女性にも焦点をあてたかった」と意図を説明した。
 ウチナーンチュの精神文化や伝統工芸『紅型』などの充実したワークショップも用意されなど、老若男女、沖縄県系人の層の厚さを感じさせる二日間となった。

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 2015年に沖縄県北中城村で3カ月研修し、そこでの出会いを機に16年に日本でデビューした外間さん。祖父の故郷を訪れて、心の中にあった葛藤を乗り越え、日系アルゼンチン人としての深い自覚に目覚めたという。そんな外間さんが、今年4月に立上げたのが「ハイカラ・アート」というプロジェクト。「アートによって日系人の絆を深め、それを世界に示したい」との熱い思いを語り、世界に散らばる日系人のアーティストを束ねて、その絵画や楽曲などを発信するものだ。現在70人ほどメンバーを有するといい、いずれは展示会や演奏会などを催したいのだとか。来年のおきなわ祭りで実現するかも?