《ブラジル》水難海難事故相次ぎ発生=パラー州での死者20人突破=詳細な乗客乗員数さえ不明=2日後にバイーア州でも転覆事故

パラー州ポルト・デ・モス市で、事故で亡くなった人の棺に寄り添う人々(MÁRCIO FLEXA/SECOM)

パラー州ポルト・デ・モス市で、事故で亡くなった人の棺に寄り添う人々(MÁRCIO FLEXA/SECOM)

 【既報関連】22日午後10時頃、ブラジル北部パラー州のシングー川流域で、不法航行の船が沈没した事件で、事故から30時間以上経過した24日朝も、現場流域での捜索活動が続いている。また、24日朝にはブラジル北東部バイーア州で、イタパリカ島のヴェラ・クルス市と州都サルバドール市を結ぶ定期船が転覆するなど、水難、海難事故が相次ぐ様子を24日付現地紙・サイトが報じている。

 パラー州の事故は、23日朝の段階で「乗客、乗員合わせて70人、25人生存」との情報が出ていたが、その後、「生存者15人、死亡者10人」に変更された。
 23日はさらに、「生存者19人」などと情報が錯綜した。24日朝、同州保安局が発表した文書によると、沈没した船の所有者は、船に乗っていたのは48人だったと供述しているという。
 しかし、保安局は、死者10人、生存確認23人、行方不明者16人の計49人の線で、調査・救出活動を続けている。
 捜索活動は23日の夕刻で一旦打ち切られ、24日朝5時から再開された。24日朝は新たに9人の遺体が発見され、11時過ぎにはさらに2人が遺体で回収されたため、死者の数は21人となった。
 事故現場では、各地から派遣された消防のモーターボートと、ポルト・デ・モス市が提供した救命ボートや船舶などが捜索を続けており、上空からはヘリコプターも捜索活動を支援している。現地には、犠牲者や行方不明者の家族への心理的サポートに当たるための州職員も派遣された。
 23日夜には、法医学研究所が、身元の判明した9人の遺体を遺族に引き渡した。その中には1歳児もいる。同時点では、残り1人が家族の確認を待っている状態だ。
 一方、24日の朝6時半頃、バイーア州でも船の転覆事故が発生した。事故の現場は、州都のサルバドール市とイタパリカ島の間のトードス・オス・サントス湾だ。
 イタパリカ島ヴェラ・クルス市からサルバドール市に向けて出港した定期船、サルバドール-マル・グランデ号は、沖へ出て200メートルの地点で転覆した。
 この定期船は航行時間40分で、1日平均4千人の利用者がいる。定員は160人で、通学、通勤の足として使われていた。事故当時、乗客、乗組員合わせて129人を乗せていた。
 救助、捜索に当たった海軍は午前中に22人の死亡を確認したが、サルバドール市の保健局は、赤ん坊1人が救助されたが、病院に搬送される途中で亡くなったと発表している。バイーア州の保健局は、午後1時過ぎの段階で89人が救出されたとしている。
 救出された内の1人、エジヴァウド・デ・アウメイダさんは、「事故当時は雨が降っており、強い波が来て船が転覆した。大勢の人が乗っていた。助けが来るのが遅い。2時間も海の中に放り出されていたんだ」と語っている。