《ブラジル》メンデス最高裁判事=波紋呼ぶ人身保護令問題=血縁関係あるバラッタ氏釈放=「刑執行は3審後」と翻意=モロ判事も懸念を表明

メンデス判事(José Cruz/Agência Brasil)

メンデス判事(José Cruz/Agência Brasil)

 ブラジル連邦最高裁のジウマール・メンデス判事が18日に行った、ジャコブ・バラッタ・フィーリョ容疑者への人身保護令適用や、22日に第2審で有罪になった被告を釈放したことが、現在、強い波紋を投げかけ、国民から強い不信感を持たれている。27、28日付現地紙などが報じている。

 事の発端は、今月17~19日に、ラヴァ・ジャット作戦(LJ)に関連して、連警が7月2にポント・フィナル作戦(PF)で逮捕した、「リオのバス王」の異名を取る企業家のジャコブ・バラッタ・フィーリョ氏ら、6人の容疑者に、メンデス判事が人身保護令を適用し、釈放したことだ。
 中でも問題視されたのが、バラッタ氏への処遇だった。同氏はポルトガルへ渡航しようとしてリオのトン・ジョビン空港に赴いた7月2日朝、国外逃亡を疑われ、PF作戦で逮捕された。バラッタ氏の弁護人は同件で、リオ連邦第2地域裁(TRF2)に人身保護令適用を求めたが、TRF2はこの要請を同月26日に判事投票2対1で却下し、逮捕が継続された。
 だが、8月17日にメンデス判事が人身保護令適用を命じた。これは、PF作戦で最初にバラッタ氏の逮捕を命じたリオ地裁のマルセロ・ブレタス判事が同日中に別件で逮捕を命じて差し止めたが、18日にはメンデス判事がそれも引っくり返し、バラッタ氏とその仲間は釈放された。
 同件では、バラッタ氏の娘が同判事の甥と結婚しており、結婚式でも結婚親を務めたという血縁関係が判断に大きく影響したと見られ、問題が大きくなっている。
 さらに、メンデス判事は22日、連邦第1地域裁(TRF1)が有罪とした被告を釈放することを認めた。これは、昨年10月に最高裁が「第2審の裁判の判決で刑執行が可能となる」と決めて以来、初めての人身保護令適用だ。しかも、メンデス判事は、この時、賛成票を投じている。
 最高裁では最近、昨年10月の決定を見直そうとする動きが強まっている。メンデス判事は第2審での有罪者釈放と同時に、「高等裁判所の判決(第3審)後に刑執行と変えた方が良い」などと主張しはじめている。
 刑執行が「3審後」に変更された場合はフィッシャ・リンパ法などにも影響し、18年の統一選候補者の顔ぶれが大きく変わる可能性もある。
 パラナ州連邦地裁でLJ裁判を取り仕切り、昨年10月の最高裁の決定を理由に23日にLJの被告2人の逮捕を命じたセルジオ・モロ判事は、「メンデス判事も賛成した第2審後の刑執行が揺るげば、汚職などを犯した重犯罪者が裁かれないことへの国民の不満が更に募る」とし、最高裁の決定見直しに反対との見解を示した。
 27日付エスタード紙によると、メンデス判事への支持率はわずか3%で、不支持率は67%にまで高まっている。