中南米日系社会との連携に関する有識者懇談会報告書=どうなるの?! 日本との絆=コロニア必読の重要な方針=(9)

より綿密な連携が期待されるJICA横浜海外移住資料館

より綿密な連携が期待されるJICA横浜海外移住資料館

《エ》JICAによる連携のための施策

 (ア)次世代人材育成、大学院レベルの留学プログラム、日系研修等の人材育成事業、日系社会との共生のためのボランティア事業や日本の若い世代の日系社会訪問・交流事業等のJICAの中南米日系社会向け事業は、各プログラムの対象及び内容を日系社会の進展を念頭において見直した上で拡充を検討すべきである。
 また、従来の移住支援事業の実績を踏まえ、日系社会の世代変遷に併せ、日系社会を核とする中南米の知日・親日社会と日本の各界・各層の連携を推進するために必要な取組についても検討が行われるべきと考えられる。
 (イ)日系団体・日系人との連携による在住国及び第三国における経済社会開発事業並びに文化・スポーツを通じた日系団体の人材育成事業の推進が期待される。
 その中で例えば、JICAボランティア事業に、中南米等の日系人が参加しやすい制度や、日本在住の経験を有する日系人等、日本国籍を持たなくとも定住資格を持つ日系人でも参加できる制度とすべきことである。
 (ウ)JICA事業を通じて日系社会と日本の地方公共団体・経済界・学界等の連携を促進(産学連携も含む)することが重要である。例えば、日本側の各主体と協力して研修事業等を組成したり、日系社会ボランティア理解促進調査団を派遣することは有効である。

《オ》学界による連携のための施策

 (ア)日系移民の歴史的資料の保存や展示により、日系社会のアイデンティティ形成と日本や現地での理解を促進するために、JICA横浜海外移住資料館をはじめ、国内外の移住資料館との連携を推進する。この組織化により、研究の円滑化と社会への還元を進める。
 (イ)日系社会に関する学術研究成果を海外日系人大会や学会の研究大会等広く内外の機会で披露することにより、現代を共に生きる実態を共有し、各国の発展に貢献する。(つづく)