沖縄県系人にみる苦難を乗り越えた先の団結

 沖縄やハワイからの同郷者を含む1200人が集った小禄田原字人会の百周年。門中によって繋がる血縁関係のみならず、多くの家族の中に移民が身近にいることが、同郷者を強く結びつけているようだった。
 「沖縄よりもブラジルの方に親戚が多い」という高良忠清さんによれば、フィリピン・ミンダナオ島に渡った戦前移民の妻子が何千人も無国籍者となり、昨年に日本国籍を認められた子弟が郷土に戻ってきているという。
 戦前、東南アジアでは同国は最大の入植地で、移住者は最盛期1万7千人を超えた。うち70%が沖縄系で、同字出身者の子弟も多かったという。戦後取り残された妻子は、反日感情が渦巻くなか、身元を隠す必要性に迫られた。
 いち早く世界に開けた中継貿易で栄えた琉球王朝。その流れを汲み、村を支えるために移民が推奨され、唯一の地上戦を経験した沖縄。そんな苦難を乗り越えてきたからこそ、強い団結で結ばれているだろう。(航)