総輸出実績が6%も増進=目が離せない異常気象変動=パラグァイ在住 坂本邦雄

発展する首都アスンシオンの町並み(By FF MM (Own work), via Wikimedia Commons)

発展する首都アスンシオンの町並み(By FF MM (Own work), via Wikimedia Commons)

 パラグァイの輸出実績は8月末現在、再輸出部門の成長の弾みで6・1%の増進を見た。同じく、輸入も内需の伸びによって21・5%の増加率を示した。これらの結果で、わが貿易収支は黒字である。
 パラグァイ中央銀行が発表した8月末の対外貿易に関する報告書によれば、輸出金額は81億160万ドルに達し、これは昨年度同期比累計額に対し6・1%の増加率である。
 この増加は、同中銀の分析に基づけば、主に再輸出部門の37・1%の増進に依存するもので、次いで工業製品の輸出に加えて大豆種子および牛肉類のそれが続く。ただし、輸出産品の量・ボリュームは減少した。
 産業界の生産レベルは27・6%の成長で、一方では第一次産品、農牧業産品の加工や燃料およびエネルギー生産は、それぞれ4・4%、6%、0・7%の減退率だった。
 さる8月期に輸出で最とも大きい増加をみたのは、大豆種子、牛肉、撚糸、電線、皮革および大豆油だったと中銀の資料は示している。その取引内容の構造は、例えば牛肉は金額で2・7%増のところ、量は7・9%の減少だった。
 輸出部門の価格は一般に7・5%の増加だった。
 撚糸やケーブル、縫製品、プラスチック製品や衣料品の製造をふくむマキーラ産業による輸出は2億6970万ドル、すなわち39・4%増の実績・シェアーを占しめた。
 他方、輸入面では73億8070万ドルで、昨年度に比し21・5%の増加で、8月度に限っては前年同期比10億ドルの増差額だと、中銀の資料は指摘している。
 そのうちで最とも目立った輸入品目は、乗用車と貨物輸送用の車種、その他となっている。
 輸入品は大別して、消費財、半耐久財および資本財で、パーセンテージにして、それぞれ25・8%、20・9%と28・7%の割合の増加であった。
 同時に、観光制度による輸入は55・6%の増加を記録し、そのうちで資本財とみなされるのは36・5%で、あとの63・5%は国内消費財であった。
 これらの結果、パラグァイは昨年度よりも低額ではあるが、72億900万ドルの黒字貿易収支を保っている。

▼経済に影響する地域の天候

 しかし、内陸国でブラジルやアルゼンチンの大国に隣するパラグァイは、自ずと両国の良かれ悪しかれの経済、政治動向の影響をじかに受けるのを常とするが、主に農牧業立国のわが国はお隣の気象や気候の変動にも目が離せない。
 例えば、アルゼンチンは最近10州におよぶ大雨でおよそ1千万ヘクタールの最とも生産的な土地が大被害を受け、亜国政府は農村の緊急事態を宣言した。
 ARP・パラグァイ農村協会はこの情勢は重大で全てに影響すると言いうが、MAG・農牧省は果樹・青果品の輸入に問題はないとしている。
 AFP通信は亜国の最とも豊饒な1千万町歩の生産地が大雨害で冠水、その甚大な被害を報じている。
 SRA・アルゼンチン農村協会のミゲル・エッチェベエレ会長は、生産面、自然環境、社会問題におよぶ大災害であり、その克服または回復には相当の時間を要すると語った。
 すなわち、草原や農地で1メートルも水没したところがあって対策には限度があり、天候次第の減水を待つ他はないと云う。
 CARBAP・ブエノスアイレス&ラ・パンパ農村協会連合会は、牧畜、酪農およびインフラ設備の損害に加えて、小麦、大豆、トウモロコシ、ヒマワリの生産が受ける被害は262億ペソ、約15億ドルに達すると試算している。
 先週の衛星映像に基づいたCARBAPの報告書では、「問題の約800万ヘクタールのラ・パンパ湿原地帯では農業25%および牧畜業26%が危機にあり、なお今週末には冠水地帯でさらに130ミリの降雨があった」と報じている。
 この様ような状況下において、隣国の農牧産品の導入に関わる値段の影響はいかがなものかとのABC紙の取材に対して、MAGのマリオ・レオン農業次官は、主にそれら食料産品は亜国のフォルモサ、ミシオネスやチャコの各州からの導入に依存するので、特に変った現象は生じないであろうとの意見であった。
 一方、皮肉もわがパラグァイでは雨量不足で、例えば大豆の蒔き付けが多少は遅れたりしていると付言した。
 ただし、差し当たりのところ、アルゼンチンの水害問題は、さしてわが国に影響はしないであろうとレオン次官は語った。
 他方、ARPのルイス・ヴィリャサンティ会長は、アルゼンチン農牧業生産者が当面する重大な災害に遺憾の意を表し、その後遺症がいつかはわが国の経済界にも波及する恐れがありうるのは否めないと注意した。
 ところで、少々蛇足になるが、ここで考えさせられるのは、様々な意見がある中で、なぜアメリカのトランプ大統領は、地球温暖化の気候対策、パリ協定の離脱を宣言したのかという疑問である。
 気のせいかどうかは知らぬが、近来とみに世界中で天変地異の、いろんな枚挙すれば限りがない大災害が起っている。
 そして、ごく最近では、まさにトランプさんの足元で起った大西洋、カリブ海での、今回は特に猛威を振った複数のハリケーンが相次ぎ、フロリダ州や他の各都市を襲った大天災は、トランプさんの猛省を促がす良い教訓にならないかとは、「蛙の面にションベン」ですかね?
(註・9月8日、13日付ABC紙の複数の記事を引用)。