わが移民人生=おしどり来寿を迎えて=山城 勇=(62)

 彼等は、その後もその組織(訪日研修団)を延長させ、時折り集って座談会等を開いていると云う。
 この前も「やれ!一周年だ」と県人会会館で集ったらしく、このようにして彼等(子弟)は彼等で、その一つの絆にむすばれて有意義な集いを持ち楽しんでいます。ほんとに喜ばしい限りであります。

 今後も続けられると云うこの研修旅行により多くの子弟が参加してもらいたいことを望んで止みません。

 それから去った7月の県人会主催の陸上競技大会へ出場する為1千余キロもあるブラジリアより約40名の選手団がバス一台を借り切りでサンパウロへやって来た。
 彼等は金曜日の晩ブラジリアを出発、翌日(土)正午サンパウロへ着き、そして県人会の会館で寝泊まり(自炊)し、日曜日の大会へ出場するという強行軍にも拘わらず、その大会を終えて翌月曜日、今度は青年協会主催の野球大会があるので、それにも参加してもらったというのです。

 ところがそのチーム、何と強いこと、本選手の2、3名は剣道大会へ出場するため、その補欠にチビッコまで入っているというのによく奮闘し、次々勝ち抜き、地元優勝チーム(OBチーム)顔負けの腕前を発揮したというのです。

 それを機会に此処のチームは大いに刺激になり、またブラジリアの方は益々自重して、今後お互いに一段と熱を入れるでありましょう。ほんとにいいチャンスを作ったものだと思います。

 そしてまた、青年協会の方では、その日のアルモッサー(朝食)にと、牛肉50キロと飲み物を準備して、ブラジリアの選手を囲んでシュラスコ会、食べつつの試合で、「雨天なんかなんのその」、大変和やかな大会であったという。
 ブラジリアの方たちが県人会主催のその大会に参加するのは去年が初めてであるらしいが、それに参加する為の費用も大きいけど、しかしその後の彼等(主に青年隊の子弟)の行動が家庭なり、外(仕事)なりで一段と変って行くと云うことであります。

 それはちょうど、あの青年隊子弟の訪日研修団を小さくしたようなものだと云うのであります。
 そこでブラジリアの引率の方々は、「青年協会のこのような歓迎ぶりにどう感謝してよいやら…、それに試合も勝ったし、そんな喜ばしいことはない。今後益々彼等が自重してあらゆる面に精を出し頑張るであろう。

 本当に大きな刺激になった。今後もよろしく仲間入りさせて下さい」、と感激し満足して帰った、と主人が話したので、私も何だか胸の熱くなる思いで、「青年協会はほんとに良いことをしたね」と云うたら、主人曰く「いや、それはお返しなんだよ。僕等も実態調査等で向うへ行った時には大変お世話になっているんだから….」と。