リオ市=ロッシーニャに戦車や兵士=麻薬組織の抗争に軍派遣=学校は休みだが商店は再開

ファヴェーラの中を巡回する軍の兵士や軍用車(Vladimir Platonow/Agencia Brasil)

ファヴェーラの中を巡回する軍の兵士や軍用車(Vladimir Platonow/Agencia Brasil)

 【既報関連】22日にリオ市内8地区で銃撃戦が起き、フェルナンド・ペゾン州知事が軍派遣を要請。陸・空軍兵950人が派遣された事で、リオ市南部のロッシーニャでは、24日夕刻以降、銃声が途絶えていると23~25日付伯字紙、サイトが報じている。
 ロッシーニャはブラジル最大のファヴェーラで、同市第2の麻薬密売組織アミーゴス・ドス・アミーゴス(ADA)が支配している。同地区のボスはロジェリオ・ダ・シウヴァ(通称ロジェリオ157)だが、元首領で現在連邦刑務所に収監中のアントニオ・フランシスコ・ロペス(通称ネン)は、ロジェリオの統治方法を不服とし、ロッシーニャを取り戻せとの命令を出した。17日にはネンの妻や腹心の部下を軸とするグループが同地区に侵入して激しい銃撃戦が起き、死傷者も出た。
 軍警特別機動隊(BOPE)や市警は、翌日以降、連日の捜索活動で武器や麻薬を押収。密売者逮捕も目指しているが、犯罪者と警官の間の銃撃戦などが続き、22日には8地区で銃撃戦が展開される事態に至った。
 ラウル・ジュングマン国防相は同日、陸軍兵700人の動員を承認。実際には陸・空軍兵950人が派遣された。兵士の大半は侵入や逃亡防止のためにロッシーニャを包囲しているが、一部兵士や戦車、防弾車は域内に入り、警官と共に捜索活動などに当たっている。
 兵士到着後の23日午後は、犯罪者が隠れたり逃亡したりするために使うチジュッカの森やその周辺で銃撃戦が起き、犯罪者3人が死亡した。
 同市ではロッシーニャから逃げた密売者の捜索が続き、北部のジャカレジーニョでは24日夜と25日朝の銃撃戦で犯罪者1人が死亡。市北部のツラノの丘でも25日に銃撃戦が起きた。だが、ロッシーニャでは、24日夕刻に短い銃撃戦が起きた後は銃声が途絶えている。25日朝のニュースによると警察はロジェリオの家も発見。同地区では商店や教会なども活動を再開し始めた。
 ADAの構成員捜索は広域で行われ、23日朝にはイーリャ・ド・ゴヴェルナドールで、17日の侵入を指揮した一人のルイス・アウベルト・モウラが捕まった。22日の軍派遣以降の逮捕者は未成年者2人も含む18人で、武器や弾薬の押収も続いている。
 なお、ロッシーニャ周辺では安全確保の意味で25日も公私立校の授業を停止。27日まで休む学校もある。市民の間には安堵感も広がり始めたが、専門家は、軍投入は一時的な解決に過ぎないと警鐘を鳴らしている。