大耳小耳

 俳誌『朝蔭』455号が9月に刊行された。《くさめしてとんと一句を忘れけり》(秋枝つね子)を読んで、「ああっ、惜しい。生涯に二度と作れない傑作だったのに」と思ったとか、思わないとか。《消毒の飛機は虹の下くぐる》(笹谷蘭峯)は広大な大豆畑か、とうもろこしか。《味噌汁にして旨かりしカスクード》(城田みよし)もブラジルらしい一句。外骨格で骨ばかり、一見食べるところがないように見える魚だが、実はその出汁は最高! 一見、堅苦しそうに見える人も一緒? 《忠魂碑古り秋蝉の鳴くばかり》(新津稚鴎)は、アリアンサ移住地にある先人の記念碑ばかりがストーンヘンジのように並んだ公園の状景を詠ったものだろうか。どこか芭蕉の「夏草や兵どもが夢の跡」を彷彿とさせる作品。