《ブラジル》史上最大の銀行強盗未遂=実行間際のトンネルを発見

 サンパウロ市南部のシャッカラ・サントアントニオで2日夜、ブラジル銀行の金庫の下まで続くトンネルが発見され、史上最大の強盗劇が未然に防がれたと3日付現地やサイトが報じた。
 警察によると、20人からなる強盗団の構成員16人は、サンパウロ市北部ジャルジン・パリーの民家で捕まった。この家は、トンネルを掘るための道具などを作るために使われていたという。
 警察はこの強盗団の動きを2カ月前から観察しており、9月28日にトンネルが完成し、いつでも金を盗みだせる状態になったのを受け、逮捕に踏み切った。
 狙われていたのはサントアマーロ区のブラジル銀行で、犯人達は6月10日に、同支店から約500メートルのシャッカラ・サントアントニオにある民家を借り、トンネルを掘り始めた。
 民家の中は、32インチのテレビ以外はこれという装飾もなかったが、食料がぎっしり詰まった冷蔵庫や水、ベッドパットといった品をはじめ、トンネルを掘るための道具や支柱用の木材、天井板として使う金属板、専用のつなぎや手袋、長靴に変装用のカツラといった品々が見つかった。
 高さ約1・5メートルのトンネル内には照明もあり、9月28日にはブラジル銀行の金庫の下まで行き着いていた。実際の犯行はいつ起きても不思議がない状況で、同銀行の金庫室の床や壁には亀裂も出来ていた。
 強盗団は同銀行を襲って10億レアルを入手する計画を立てており、構成員は各自、20万レアルずつ出資していた。
 カツラを使って変装するなど、細かい工夫を凝らした甲斐もあり、トンネルの始点となった民家の隣人は、強盗団の動きについて聞かれても、頻繁に人が出入りしていた以外、不審な点はなかったと答えている。
 ブラジル最大の銀行強盗事件は2005年に起きた中央銀行フォルタレーザ支店襲撃で、被害額は1億6480万レアルだから、今回の計画が成功すれば、間違いなくブラジル最大、世界でも有数の強盗事件となるはずだった。
 警察によると、今回の逮捕者16人はアジトが包囲されたのを見た時点で抵抗するのを諦めており、武力行使は不要だったという。残る4人の行方は現在も捜索中だ。