《ブラジル》アジアン&シーフードショー=最高級の和牛に絶賛の声=JETROが和牛セミナー開催=「バターのように舌の上で溶けた」

「生でも美味しいんですよ」と希望者に生の和牛肉を配る小池シェフ

「生でも美味しいんですよ」と希望者に生の和牛肉を配る小池シェフ

 サンパウロ市のエキスポ・センター・ノルテで1から3日の間、アジア料理の見本市「アジアン&シーフードショー」が開催された。日系進出企業を含め約40の食品関連企業などが出展し、活発な商談の場となった。2日午後には独立行政法人・日本貿易振興機構(JETRO)サンパウロ事務局(大久保敦所長)が主催する『和牛セミナー』が開催され、サンキョーミート株式会社の木嶋亨専務と小池信シェフが和牛について説明を行い、試食用の和牛を振舞った。

和牛の魅力について説明する木嶋専務

和牛の魅力について説明する木嶋専務

 今セミナーために日本から送られた和牛は伊藤ハムフードソリューション株式会社の製品『いとう和牛』の最高クラス「A5」に格付けされたもの。通関手続きのため和牛の会場到着が遅れ、セミナー開始が遅れるハプニングもあったが開始の際にはほぼ満席となった。
 木嶋専務はまず和牛の希少性を説明。日本国内で育てられている390万頭の牛の内250万頭が肉用牛、黒毛和種は165万頭だそう。「黒毛和種は年間50万頭しか生まれない。世界の牛頭数(10億頭)から見て、非常に希少な種」と紹介した。
 また、日本で生産された和牛の特徴について「長い年月をかけて進化してきた」と強調した。日本で牛肉が食用として扱われ始めたのは約150年前。「各家庭の一員として水稲栽培など農耕作業を手伝っていたこともあり、おいしいお米を作る稲わらが重要な粗飼料となっている」と日本風土との結びつきを説明した。
 また、和牛肉の特徴である赤身の中の「霜降り」(脂肪)は時間をかけて和牛を太らせ、筋肉の中の「サシ」とよばれる脂肪部分を膨らませることでできるそう。「和牛の脂肪は約20度前後で溶ける不飽和脂肪酸。『良いコレステロール』なんです」と語り、女性客の関心を集めた。
 最後に「本物の和牛は純血品種として血統登録、消費用に加工する段階で厳密な格付けが行われるなど厳しい管理の下生産される。今日試食で振舞われるものは和牛の中でも最高級のもの」と来場客の期待を高め、小池信シェフにマイクを渡した。
 小池シェフは薄く切られた和牛を載せた皿を手に会場を回り、和牛の霜降り部分を指し示しつつ「極端に言えば脂が違う。和牛の脂は人肌で溶けるため体内に残らないんです」と話した。
 試食のためゆず胡椒が乗った炙り和牛の握り、檜の蒸籠で調理された蒸籠蒸しが振舞われ、希望者には小さく切った生肉も配られた。
 参加したアリマ・マルガリーダさん(60、二世)とナカヤマ・ロザリアさん(65、二世)は「味わい深く、ブラジルの肉とは違う。脂肪が口の中でバターみたいに溶けた」と笑顔を見せた。
 スシマン(寿司職人)のヒガシ・アンデルソンさん(36、三世)と友人のブッソーロ・ラウロさん(27)は「とにかく柔らかい。舌の上で溶けてしまった」と驚きを見せ、「是非違う方法で調理された和牛も食べてみたい」と語った。

 

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 和牛セミナー会場の横には和牛紹介用のブースが設置され、セミナー後に10人が購入を希望したそう。しかしセミナー中に振舞われた「和牛の握り」の印象が強かったのか、「お寿司屋さんが多かった」とのこと。木嶋専務はブラジルでの日本産の和牛展開を目指し輸入業者を探していることに触れつつも、「とりあえず和牛も無事に会場に到着し、和牛を知ってもらう機会が作れた」とホッとした様子で話した。