ブラジル各地で続く海岸侵食

高波によって崩壊したマクンバ海岸の自転車専用レーン付の道路(Tânia Rêgo/Agência Brasil)

高波によって崩壊したマクンバ海岸の自転車専用レーン付の道路(Tânia Rêgo/Agência Brasil)

人の手が加えられていないマクンバ海岸(divulgação)

人の手が加えられていないマクンバ海岸(divulgação)

 ここ数日、頻繁にリオ市西部マクンバ海岸の名前が出てくる▼9日は、15年前設けられた海岸沿いの道路が高波などで損傷を受け、自転車専用レーンが崩れたと報じられた。自転車専用レーン崩壊は9月以降、3カ所目だ。道路の損傷は日を追って激しくなり、問題の道路の一部は、車の通行も禁じられた。18日付のエスタード紙によると、ここ1カ月間の道路の損壊は600メートルに及び、同日からは緊急の侵食防止工事も始まるという▼だが、海岸部の侵食は、リオ市に限った事ではないし、決して新しい出来事でもない。リオ連邦大学は2000年に侵食被害に対する警告を出しているが、マクンバ地区では、2005年に道路拡張工事も行われた。同市防災局は、当面は同海岸に近い地域の家やビルの倒壊はないというが、ビルの前の道路には黄色いブロックが置かれ、「あれが崩れたら、すぐに逃げろ」と言われたというから、地域住民は枕を高くして眠れない▼海岸浸食はブラジルでも、南東部や北東部を含む各地で報告されており、昔は幅が20メートルはあった砂浜が数メートル程度になった所や、家や道路が壊れた所、海岸が毎年5メートル後退している地区もある。港湾工事の後、周辺の海岸の形まで変わってしまったと嘆く人がいる地域さえある▼自然界が保っていたバランスが工事などで崩れたり、自然の力を軽く見た工事が破壊され、人命や生活を脅かしたりする例は、知恵や力を誇る人類に「謙虚になって自然の声を聞け」と語りかけているようだ。世界に目を向ければ、地球温暖化で水没の危機にある島などの話も聞く。自然を克服するだけでなく、共生する事を考え直す必要がありそうだ。(み)