《ブラジル》小児わいせつ一斉摘発実施=ブラジル全土で千人超の捜査官動員=サンパウロ市女児誘拐事件でも逮捕者

トルクアト・ジャルジン法相(Adalberto Carvalho/Ascom-CGU)

トルクアト・ジャルジン法相(Adalberto Carvalho/Ascom-CGU)

 【既報関連】ブラジル24州と連邦直轄区で20日、インターネット上で小児わいせつ画像や映像などを保持、流布、作成していた容疑者らの一斉摘発、「子供に光を」作戦が実行され、計108人が逮捕されたと21日付現地各紙が報じた。摘発が行われなかったのは、摘発に踏みきるほど捜査が進んでいなかったアマパー州とピアウィ州のみだが、数週間の内には両州での摘発も行われる見込みだ。

 今回の摘発作戦は、同種の取り締りとしては、ラテン・アメリカ最大、世界でも有数の規模の作戦となった。捜査当局はこの半年間で15万1千ものコンテンツを分析した。20日は1100人もの警官を動員。実際に出た家宅捜索令状は178件で、該当する物証が見つかれば、警官が現行犯逮捕するという手順を踏んだ。

 法務省国家保安局(Senasp)主導の作戦は、各州保安局や市警が、在ブラジル米国大使館の協力も得て行った。

 トルクアト・ジャルジン法相は「捜査は米国や英国、スペインなど、国際的な協力も得て行われた」と語った。今回の摘発は、薬物、武器密売、人身売買、金融犯罪、サイバー犯罪摘発などでの捜査協力の実だ。

 同法相はさらに、「次の捜査目標はブラジルに散らばる犯罪者の関係性解明だ」と語った。児童性愛は、個人犯罪の他、国内または国際的な集団犯罪の可能性がある。

 作戦では、パソコンやわいせつデータの入った外付HDなどが押収された。法相は、狡猾な犯罪者は、他人のパソコンをのっとり、秘密裏に犯罪を行っていたと説明。捜査員たちは、犯罪者と、何も知らずにパソコンをのっとられた人を区別しており、後者は逮捕対象とはされなかった。

 捜査当局は「インターネットがこの種の犯罪を容易にしてしまった。犯罪者たちはネットの闇に隠れて暗躍している。作戦名『子供に光を』は、子供の尊厳を取り戻すと共に、犯罪者を法の光の下に晒すという意味もある」との声明を出した。

 9月24日にサンパウロ市東部で発生した3歳女児2人の誘拐殺人事件で20日に逮捕された容疑者2人も、児童性愛絡みだ。10月12日に遺体で発見されたアドリエリ・メルちゃんとベアトリス・ドス・サントスちゃんは、殺害後、陵辱された疑いがある。マルセロ・ソウザ容疑者は児童性愛者で、娘の入浴さえ禁じられている。エヴェラルド・サントス容疑者は最近、メルちゃんの父親と喧嘩していた。

 2人は、事件に憤る近隣住民からリンチに遭い、一旦は警察に保護されたが、その後の調べで犯行を自供した。