《ブラジル》連邦第4地域裁(TRF4)が元労働者党(PT)中央会計のジョアン・ヴァカリ・ネット被告の刑期を大幅延長=労働者党のペトロブラス事業の収賄窓口=ルーラ裁判にも暗雲漂う

ヴァカリ被告(Marcelo Camargo/ Agência Brasil)

ヴァカリ被告(Marcelo Camargo/ Agência Brasil)

 労働者党(PT)元中央会計のジョアン・ヴァカリ・ネット被告が7日、連邦第4地域裁(TRF4)で行われたラヴァ・ジャット作戦の第2審で、刑期を10年から24年に延長された。同裁での裁判を来年に控えるルーラ氏にとって、大統領選出馬に暗雲が立ち込める結果となった。8日付現地紙が報じている。
 TRFは第2審を扱う上級裁判所だ。ラヴァ・ジャット作戦(LJ)の場合は1審がパラナ州クリチーバの連邦地裁であり、それを含め、ブラジル南部全体を管轄するのがリオ・グランデ・ド・スル州ポルト・アレグレにあるTRF4となる。
 ヴァカリ被告は、15年4月15日のLJ第12弾で逮捕された。これは、ペトロブラスがゼネコン諸企業と契約を結んだ際に、PTが口利き料として賄賂を受け取ったとされる犯罪に対するものだ。同被告はPT側の収賄窓口役になったと目されている。
 収賄はシンガポールの企業家をオペレーターとして、国外の秘密口座に対して行われたとされる。その一部は2010年のジウマ氏の大統領選挙に回されたと、同選挙で参謀を務めたジョアン・サンターナ被告は、後に報奨付証言の中で語っている。
 今回はこの件に関する2審裁判で、TRF第8法廷は、1審でセルジオ・モロ判事が出した10年の実刑判決を24年に延長した。
 今回の判決で同裁は、1審で下された五つの告発のうち、二つを無罪にしたが、収賄に関しては有罪が保持された。だが、ヴァカリ被告が行ってきた収賄を、モロ判事は「連続性のあるひとつの犯罪」として一括して扱って刑期を決めたのに対し、TRF4は各自の汚職案件を別々にして刑期を積算したために期間が伸びた。
 今回のヴァカリ被告への判決はPTを驚かせた。以前行われた、同被告への同裁での2度の裁判では、今回とは逆に1審判決が退けられ、無罪になっていたためだ。
 以前に無罪判決を下したTRF4のレアンドロ・パウルセン判事は、「これまでの裁判では証拠が不十分だったが、今回は、はじめて明確な証拠が確認されたため、有罪とした」と判決文で述べている。
 今回の判決は、サンパウロ州グアルジャーの高級三層住宅を介した収賄容疑の裁判を同裁で来年中に控えたルーラ氏にも不安を与える結果となった。フィッシャ・リンパ法では2審で有罪判決が出ると、刑期終了の8年後まで、選挙出馬禁止となる。法律が変わらない限り、出馬断念という事態になるためだ。