《ブラジル》ブルーノ・アラウージョ都市相が辞任=民主社会党の連立離脱は決定的=閣僚改編の予定も前倒しに=社会保障制度改革への影響は

アラウージョ氏とテメル大統領(Beto Barata / PR)

アラウージョ氏とテメル大統領(Beto Barata / PR)

 13日、民主社会党(PSDB)所属のブルーノ・アラウージョ都市相がテメル大統領に辞任を申し出た。これを受け、大統領はPSDBの連立離脱が避けられないものと判断し、他の連立与党に呼びかけて同氏の後任を探すと共に、閣僚改編を当初の予定よりも早め、社会保障制度改革法案の通過のための対策にあたることにしたと、14日付現地紙が報じている。

 アラウージョ氏は13日午後、大統領府で行われた都市省管轄のプログラム「カルトン・レフォルマ」で新たなカードを支給する行事の直前にテメル大統領に都市相辞任を申し出た。
 PSDBは、同氏の辞任は党が計画したものではなく、個人的なものとの見解を示しているが、アラウージョ氏自身は大統領に、「PSDB党内ではもはや、都市相としての役職を遂行していくために必要なだけの支援が得られない」との説明を行った。
 テメル大統領にとり、この辞任の申し出は寝耳に水だった。大統領はPSDBの連立離脱そのものは覚悟していたが、同党が離脱を明確にするはずの12月9日の党大会まで、閣僚の再編成開始を待つつもりでいた。
 だが、アラウージョ氏の辞任とその理由を聞いて、大統領は、来年4月にと考えていた閣僚再編成の前倒しを決めた。今回の再編成には来年の選挙に出馬する予定の閣僚も含むため、同党の他の3閣僚(アロイージオ・ヌーネス外相、ルイスリンダ・ヴァロイス人権局長官、そしてテメル氏に非常に近いアントニオ・インバサイ大統領府事務局長)の離脱も起こりうる。だが、大統領は、3人が辞任する可能性は薄いと見ている。
 テメル氏はすでに都市相の後任に関し、進歩党(PP)のシロ・ノゲイラ党首と会談を行い、同党から後任を出す方向で話を進めた。候補としては連邦貯蓄銀行の現総裁のジルベルト・オッシ氏か、同党下院リーダーのアギナウド・リベイロ氏が有力視されている。
 テメル大統領にとり、PSDB離脱後の組閣は非常に重要なものだ。それは、PPや共和党(PR)、社会民主党(PSD)、ブラジル労働党(PTB)といったセントロン系の政党から「懸案の社会保障制度の改革を支持して欲しければ、連立への忠誠を誓わないPSDBの役職を譲れ」との姿勢を打ち出されていたためだ。
 セントロン系の政党は、テメル大統領への2度にわたる告発に対する審理継続か否かについての下院での投票の際、受け入れ阻止の原動力となっていた。
 連邦政府は、選挙年恒例の、選挙出馬に伴う閣僚離脱の確認を向こう数週間の内に行い、12月15日までに閣僚改編を終えたいとしている。
 この時期までに閣僚改編を終えておくと、政府としては、最低でも下院では年末までに行いたいと考えている社会保障制度改革案の投票に間に合うし、来年度の混乱が減り、新しい大臣たちも新年度の予算を最初から管理することができる。