《ブラジル》グレミオが南米王者に輝く=敵地戦でも貫禄の勝利=レナト監督の的確采配光る

チームを3度目の南米王者に導き、胴上げされるレナト・ガウーショ監督(Lucas Uebel/Gremio FBPA)

チームを3度目の南米王者に導き、胴上げされるレナト・ガウーショ監督(Lucas Uebel/Gremio FBPA)

 サッカーのクラブチーム南米王者を決める、リベルタドーレス杯の決勝第2試合、ラヌース対グレミオ戦が、11月29日にアルゼンチン、ブエノスアイレス都市圏のラヌース市で行われ、一週間前の第1試合を1―0で制していたグレミオが、2―1で再び勝利し、1995年以来22年ぶり、3度目の南米大陸王者に輝いたと11月30日付ブラジル国内各紙・サイトが報じた。
 グレミオはリオ・グランデ・ド・スール州ポルト・アレグレ市を本拠とし、過去のリベルタドーレス杯では、4度の決勝進出と2度の優勝経験を持っていた。10年前の決勝進出時はラヌースと同じアルゼンチン勢のボカ・ジュニオルス相手に苦杯を舐めたが、今回はその雪辱を果たした。
 3度の優勝は、サンパウロ(92、93、05年)、サントス(62、63、11年)に並ぶ、ブラジル国内の最多タイ記録だ。
 アルゼンチンまで駆けつけた5千人のグレミオファンの応援を受けての決勝第2試合は、グレミオの試合巧者ぶりが光った。初戦で1点リードを奪っていても消極的にならず、序盤から互角の攻め合いを展開。前半27分にはフェルナンジーニョ、同41分にはルアンが相手のミスをついて得点し、前半を2―0(通算スコア3―0)で折り返した。
 ラヌースは同じ競技場で行われた準決勝第2試合で、通算スコア0―3とリードされてから4点を奪う大逆転劇を演じており、「油断大敵」との声が中継のブラジルTV局からも上がっていた。
 しかし、グレミオは後半も落ち着いて試合をコントロール。ラヌースの反撃を後半27分のPKによる1点だけにとどめ、2―1(通算スコア3―1)で勝利した。
 グレミオの快進撃は、選手としても34年前にチームをリベルタドーレス杯初優勝に導いた経験を持つレナト・ガウーショ監督の功績抜きには語れない。
 気性の激しい美男子選手としてならした現役時代同様、伊達男風の風貌の同監督は、会見でも時に挑発的な言動が目立つが、それがメディアなどの外部圧力を一手に引き受け、チーム内の結束を強める方向に作用した。
 同監督は、FWルアンやMFアルトゥールなどの育成チームからの生え抜き選手を、ブラジル代表に招集されるまでに成長させる一方、他チームで出番を失っていたために安く獲得した、DFエジウソンやMFシセロらが持つ本来の力を引き出し、チームに融合させた。
 シーズン後半の過密日程も、大胆な選手入れ替え策でしのぎ、最も疲労が蓄積されているはずのリベルタドーレス杯決勝で2連勝を果たすほどの余力を残した。今回の優勝で、レナト監督は、ブラジル人初の、選手としても監督としてもリベルタドーレス杯を制した人物となった。
 南米大陸王者の称号を得たグレミオは、6日に中東のアラブ首長国連邦で開幕する(グレミオの登場は12日から)クラブW杯に出場する。