外務省元留学生、21年史を刊行=原田氏「次世代に繋がる記録に」

(左から)呉屋文協会長、山田大使、原田弁護士

(左から)呉屋文協会長、山田大使、原田弁護士

 これまで日系社会で活躍する数々の指導者を輩出してきた外務省研修制度―。その元研修生からなるラテンアメリカ帰国外務省留学生会は、『ラテンアメリカ帰国外務省留学生の21年史』の発刊式を、14日、文協ビル9階の移民史料館で開催した。
 1965年から開始された同制度は、06年から13年まで一旦中断された時期もあったが、これまでにラ米地域からはおよそ200人の研修生が送出されてきた。
 同会は、95年に開催された第1回ブラジルペルー帰国留学生集会を機に創設。14年の第14回集会で定款が作成され、16年に亜国で開催された同会初主催による第15回集会の折、本集会の記念作品として、記念史編纂が決議された。
 記念史は日西葡の3カ国語で執筆され、640頁に上る。同会創設の歴史から、元研修生の国民生活への参加のほか、過去15回の集会における講演内容、日本とラ米諸国との修好通商航海条約の役割、さらには、ラ米諸国の日系人社会、日本文化普及団体について、詳細に取上げられる。
 式典に出席した山田彰駐伯大使は「若き外交官として働き始めてから、この制度には良い思い出がある。だが、中南米局長に赴任した時には中止されていた。何とかもう一度、再開させたいと思い、福嶌教輝元在聖総領事と共に再開に尽力した」と振返り、式典への出席に喜びを見せた。
 関口ひとみ在聖首席領事も「両国の関係を強化したいと願う、様々な領域の若い研修生たちが訪日している。移民110年の歴史を少しでも知ってもらえるよう、より多くの研修生を送ることが出来れば」と展望した。
 記念史編纂の総括責任者を務めた原田清弁護士は「同会設立以来、元研修生が行ってきたことの全てを記録した。分岐点に立たされている今、この記録は、将来の世代にとって歴史的記録となる。我々を引継ぐ若者たちが触発され、よき未来のため活動を継続してゆくことを促すものになれば」と期待を込めた。