《ブラジル》後を絶たない奴隷労働=2年間で1122人救出

 9日付G1サイトによると、2016年1月~17年8月に摘発された奴隷労働は315件で、37%にあたる117件で救出された労働者は1122人に上る事などが判明した。これらの数字は、労働省が持つ公開情報を同サイトが分析して得たものだ。
 奴隷労働か否かは、劣悪な環境での長時間労働や、自由を奪い、給与も払わず働かせるなどの諸条件により判断される。摘発、監査の対象となった315件中、最低1人の労働者が救出された例は117件、救出された労働者1122人中153人(14%、摘発件数では22件)は、書類没収や、借金を理由とする行動範囲の制限、給与不払いなどで、逃げ出せない環境下にいたという。
 同サイトによる情報分析は、昨年10月16日に労働省が奴隷労働に関する定義や監査のあり方などに関する基準変更を発表した事を受けて行われた。奴隷労働に関する基準改定は国内外から批判を浴び、最高裁のローザ・ウエベル判事も差し止めを命じた。これにより、労働省は規制緩和を取り消さざるを得なくなり、ロナウド・ノゲイラ労相が辞表を提出。15年近く有効だった従来基準により近い内容の改定基準は、12月29日に発表された。
 同サイトによると、10月発表の基準に従うなら、1122人中959人は救出対象外となり、現在も旧態依然とした過酷な労働を強いられていたはずだという。
 救出された労働者最多州は、ミナス・ジェライス州の395人で、以下、パラー州140人、ピアウイ州98人、マット・グロッソ・ド・スル州92人、サンパウロ州86人などが続く。
 16年9月にミナス州で救出された52歳の労働者は、建築現場で働いていたが、宿舎には寝台や浄水器もなく、下痢や尿路感染で苦しんだ。弁当は出るが、自炊は出来ず、トイレットペーパーなどの衛生用品もなし。給与さえもらえなかったという。雇用主は銀行口座が封鎖されたため払えないと説明したが、問題解決の方法は弾(銃)と脅されたともいう。
 16年2月にセアラ州で救出された労働者は、マナウスの不動産屋と社長宅で働いた後、セアラ州に開設する宿泊施設に移されたが、朝5時から夜10時まで働いたのに給料はもらえず、休日もなし。就寝場所さえ確保されず、外出も許されなかったという。
 非人間的な扱いは数え切れず、農作業の現場で用を足し、食事は青空天井の畑でとか、動物と水を分け合う、犬の餌を食べて飢えをしのいだという例も挙げられていた。