四世ビザ=「三世までと同じ条件に!」=訪日希望者の声を聞く=在留資格新制度原案に意見

お仕事ドットコムが公開したアンケート結果(出典:同社Facebookページ)

お仕事ドットコムが公開したアンケート結果(出典:同社Facebookページ)

 【既報関連】日系四世に就労可能な日本での在留資格を与える新制度について、日本国法務省がパブリックコメント(意見公募)を先月23日に始めた。それと同時に新制度の原案が公開され、ポ語ニュースサイトなどが翻訳して広く知らせた。原案では日語能力の要求や在留期間、対象年齢、家族帯同に制限が設けられ、四世間に波紋が広がっている。四世ビザのフェイスブック(Visto japones para yonsei, quarta geração)ぺージに登録する6245人の中から、次の3人に意見を聞いてみた。

 両親が訪日就労経験者だったという水口ファビアノさん(23、四世)は日語学習のために同制度利用を希望している。「日語学習にかける資金がないので、入国時の日語能力の制限をなくして欲しい」と要望する。
 年齢制限や家族帯同不可という条件にも反対しており、ビザ取得代行業者の「お仕事ドットコム」社が約1万2300人を対象に行ったアンケートの結果を示しながら、「現在ではほとんどの四世が30歳だろうし、既婚者は約40%もいる。日本政府が発表した原案は四世のことを全く考えていない」と批判した。
 そのアンケートは「四世は何歳なのか?」という題名で1月3日から行われ、年齢や婚姻状況、何世かなどの質問項目も設けられた。結果は25日に公開されたが、回答者の世代数については開示されていない。
 彼は幼い頃に両親と離れて暮らしたことを振り返り、「家族は全ての基盤。遠く離れて生活するのは精神衛生にも悪い」と述べた。
 就労のため広島市に在住する浦川メリーさん(三世、38)は、「日語能力が重要視されているのはわかるが、接客業に就くのでもない限りこんなに厳しくするべきではない」と考えている。
 日系四世の日本での活動を支援する「日系四世受け入れサポーター」については「そういった重い責任や仕事をしたい人が多いとは思えない」と疑問を語った。また、「日本で生まれ育ち、文化や言葉を習得した四世もいる。彼らに対して特別な措置があっても良いのでは」と意見だった。
 レモス青山ダニエラさん(四世、24)はブラジル人の夫と4歳の息子がいる。「二、三世と同様の定住者ビザを希望する」と語った。「ワーキングホリデーを基にした制度では、アジア人留学生のような安い労働力を生むだけ。一定の日語能力を求めるのは納得できるが、この案は四世に対して不公平。我々にも同じ日本人の血が流れている」と語った。
 同制度の目的は日本と日系社会との結びつきを強める「懸け橋」となる人材育成。受け入れ対象となるのは基本的な日語を理解できる語学力(日本語能力試験N4程度)を持つ18~30歳、家族帯同は不可。
 パブリックコメントは2月21日まで実施される。この結果を踏まえ、3月末までに政令を発表、施行する見込みだ。
 意見提出は電子政府の総合窓口(http://urx3.nu/Ia2P)まで。

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 四世ビザに関して「なぜ三世まではOKなのに、四世はダメなのか?」という疑問の声が多いようだ。実際問題、三世とか四世という事務的というか、書類上の血縁の距離よりも、本人が持つ「日本文化への関心の強さ」の強弱の方が、日本に居住するのに適当かどうかを判断する良い材料になるはず。三世までは家族同伴可なのに四世はダメ、三世までは永住権に切り替えられるのに四世は分からないという〃区別〃は、本人たちとっては差別のように感じ、苦痛そのもののようだ。人口減少で苦しむ日本だけに、いっそのこと日系人にはもっと寛大な入国条件を与えても良いのでは。