《ブラジル》病院職員らが誕生日祝う=小児病棟に〃住む〃難病男児に

病室での誕生パーティーに集まった人々(Santa Casa/Divulgação)

病室での誕生パーティーに集まった人々(Santa Casa/Divulgação)

 サンパウロ州内陸部マリリア市のサンタカーザ・ダ・ミゼリコルジア病院小児病棟で23日、同病院で最も長期の入院患者の一人となった難病の男児の誕生パーティーが開かれた。
 この日、脳症患者のカウエ君は4歳となった。脳症は、脳内に浮腫が生じ、神経の働きや身体の動きに障害を生じさせる難病だ。生後3カ月の時に発作や心肺停止などを起こして脳症と診断されたカウエ君は、診断後の3カ月間をクリニカス病院で過ごした後、マリリアの病院に移ってきた。
 カウエ君は人工呼吸器が必要など、24時間を通じて特別な配慮を要するため、サンタカーザ病院での最初の1年間は集中治療室にいたが、現在は一般病室にいる。
 母親のリッタ・ダ・シウヴァさんはマリリアから100キロのイパウス市に住んでおり、カウエ君と共に病院に住む事は出来ないが、リッタさんは毎日、マリリアまで通う。リッタさんの声を聞き、「お母さんが来た」事を知った時のカウエ君は、母親不在の時よりもずっと穏やかになるという。
 母親が話しかける声を聞き、母親の顔を見、母親に世話をしてもらう事で至福の時を過ごしたカウエ君は、母親が帰ってしまった後は、泣き、多動になるという。
 小児病棟の看護士達は皆、カウエ君を家族の一人のように思っており、母親がいない間は、母親同様の愛情を注ぎながら介護をしている。休暇をとっても、ついつい病院に来て、カウエ君の様子をのぞくという看護士たちは、4歳の誕生日を迎えるカウエ君にサプライズ・パーティーを計画。カウエ君の部屋は特別に飾り付けられ、5歳の姉のヤスミン・ヴィトリアちゃんも駆けつけたパーティーには、この1年間も守られた事を喜ぶ看護士達が用意したお菓子やサウガード、ケーキなども並んだ。
 準備する間、他の場所にいたカウエ君は、車椅子で病室に着き、パラベンスの歌声を聞くと、この音はどこから来ているのかと周囲を見回した。カウエ君を家族のように思う看護士や職員らは、同君の誕生日に特別な思い出を残してあげられた事に満足し、記念の写真も撮りあった。
 カウエ君とその家族、関係者の闘いは続く。だが、カウエ君は、周囲の人々からの愛情を感じとり、闘いの中でも明るい笑顔を振りまいている。
(26日付G1サイトより)