環境院がイドロ社に罰金=重金属で河川などを汚染

 国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)が2月28日、パラー州バルカレナのイドロ・アルノルテ社(Hydro Alunorte)の第2鉱滓貯蔵所の使用を禁じると共に、同社に2千万レアルの罰金を科したと同日付現地紙サイトが報じた。
 この罰金は、環境汚染を起こし易い業務を行っているにも関わらず、環境省などから有効な許可を得ていなかった事と、水抜き用の排水設備を無許可で設置していた事の2点に対するものだ。
 バルカレナでは2月17日に、イドロ社の鉱山付近で、大量の汚泥を含む赤黒い水が家屋や川に流れ込み、川の色が赤く変わる事態が生じた。事故の前には大雨も降ったが、17日のように大規模な冠水や浸水は起きていなかったという。
 2015年11月5日にミナス州マリアナで起きた鉱滓ダム決壊事故の事を知る住民達は、より大規模な水害の発生や、汚水や汚泥の中を子供達が歩き回り、病気になったりする事を恐れ、高濃度の汚染水漏出疑惑でイドロ社を告発した。
 イドロ社は2月21日に、鉱滓ダムには何の問題もなく、汚泥や汚水の漏出もないと発表した。だが、保健省委託機関のエヴァンドロ・シャーガス研究所(IEC)が調べたところ、同地区で採取した汚泥は酸化アルミニウム(アルミナ)を含む鉱石(ボーキサイト)採掘時に出る鉱滓だった事が判明。ブラジル弁護士会同州支部は、2月22日に提出されたIECの報告書を受け、同州環境局長と局長補佐の更迭と、環境局への司法介入を要請した。
 2月22日には、イドロ社の下請会社のトラックが鉱滓を積んで同州工業地区に向かう途中、州道481号線で横転、赤い汚泥が路上に撒き散らされ、赤い水が車線に広がる事件も起きた。州環境局と防災局の担当者は翌日現場に赴き、イドロ社に説明を求めた。同社は、現場の清掃は事故当日に済ませたが、事故の背景や路上に撒き散らされた内容物の解明はこれからとの声明を出した。
 なお、Ibamaの罰金は、同院職員が2月27~28日にIEC職員と現地を視察し、適切な処理が施されてない鉱滓が漏出し、川などが重金属で汚染された事などを確認後に科せられた。
 被災地区の住民の間では17日の汚泥漏出後、嘔吐や下痢といった中毒症状が報告されている。バルカレナ市役所はIECの報告後、住民への飲用水供給を開始。市環境局は、被害を受けた地区からの住民立ち退きなどの対応に追われている。