《ブラジル》糖尿病関連の諸経費が2030年には倍に=生産性低下や合併症も問題

 イギリスのキングス・カレッジとドイツのゲッティンゲン大学が23日に、ブラジルでは糖尿病と関係した直接または間接的な経費が2030年までに倍増するとの調査結果を発表したと同日付現地紙サイトが報じた。
 180カ国で行った調査では、医療・医薬品関係の費用だけでなく、糖尿病発症で生じる生産性の低下や、糖尿病による合併症や死といった、経済活動への影響などを加味して経費を計算している。
 同調査によると、ブラジルでは2015年に577億ドル(現在の通貨価値に換算して1900億レアル)を費やした。だが、2030年には、最低970億ドル、高ければ1230億ドル(4060億レアル)を費やす見込みだという。また、ブラジルは他の国々に比べ、糖尿病との関連で生じる諸経費が国内総生産(GDP)に占める割合が高いとも報じられた。
 糖尿病は世界的に増加傾向にあり、流行状態になる危険さえ囁かれている。世界保健機構は、糖尿病は失明や腎臓病、心臓病、脳血管障害、四肢切断などを招くとも警告している。
 キングス・カレッジのジャスティン・デーヴィス教授は、ブラジルでの糖尿病増加についての具体的な研究はしていないがと前置きした上で、肥満傾向が深刻化している事が原因ではとの見解を明らかにした。
 2016年の保健省のデータによると、ブラジルでは5人に1人が肥満に悩んでいるという。ブラジルでの肥満増加は、加工食品やファストフードの取り過ぎなどの食習慣の過ちによるところが大きい。デーヴィス教授は、多くの人が食習慣の過ちについて知っているが、時間がない、車での移動が多いといった面も含めた生活改善は困難だし、所得向上で加工食品を使う人や食事の量が増えている事も病気の拡大を招いていると警告している。