《ブラジルサッカー》各州選手権も佳境に=継続の意義に疑問の声も、やるからには勝ちたいライバル対決

リオ州選手権セカンドステージ決勝を戦う、フルミネンセとボタフォゴ。(Lucas Merçon/Fluminense F.C.)

リオ州選手権セカンドステージ決勝を戦う、フルミネンセとボタフォゴ。(Lucas Merçon/Fluminense F.C.)

 ブラジルサッカー界のシーズン前半の風物詩、州選手権。全国選手権は、サンパウロ州やリオ州、リオ・グランデ・ド・スル州などの強豪が入り乱れて戦うが、州選手権は州ごとに独立して争われる。
 ブラジルには、日本の都道府県に該当する地方自治体が、26州と、ブラジリアがある連邦直轄区の合計27ある。
 最もレベルが高いのがサンパウロ州選手権だ。昨年の全国選手権1位から3位までは全て、同州のチーム(コリンチャンス、パルメイラス、サントスFC)だった事からもそれは明らかだ。その3チームにサンパウロFCを加えた州のビッグ4が全て、今年の州選手権の準決勝に進出した。
 次にレベルが高いのはリオ州選手権で、ここでもフラメンゴ、ヴァスコ・ダ・ガマ、ボタフォゴ、フルミネンセと、全国選手権1部の上位常連が顔をそろえる。今年のリオ州選手権も、この4チームがベスト4の座を独占した。
 波乱が起こったのは、カンペオナート・ガウーショと呼ばれる、リオ・グランデ・ド・スル州選手権だ。
 ここでは歴史的に、州都ポルト・アレグレの2強、グレミオとインテルナシオナルが優勝を独占している。どう大会はこれまでに97回開催されており、この2チーム以外が優勝したのは16回しかない。
 大会方式はよく変更されるが、「一次リーグをグレミオとインテルナシオナルが1位、2位で通過、上位8チームの決勝トーナメントではそれぞれ逆のブロックに入るも、決勝で再戦」というのがお決まりのパターンだった。
 ただし、今年は開幕が1月半ばと早く、昨年12月半ばまで公式戦を戦っていたグレミオは、主力の休養を優先し、州選手権前半では若手や控えを起用。そのせいで負けが込み、一次リーグを8位で終えた。インテルナシオナルは1位で一次リーグを通過するも、「1位と8位が一回戦で対戦」の規定から、両者の対戦が決勝前に実現してしまった。
 8位通過のグレミオは、「これまではただの調整、ここから本気を出す」とばかりに、1位通過のインテルナシオナルを降した。4強の他のチームも見てもライバルは見当たらず、本来の実力的には抜けていたグレミオは、いきなり優勝候補筆頭に躍り出た。
 国土の広いブラジルでは、全国選手権が整備されたのは1959年からで、州選手権よりも50年近くも遅い。「伝統の州選手権を守れ」との声もあるが、強豪チームが各州に散らばってしまい、サンパウロ州選手権を除き、ファンの興味も年々薄れているのが現状だ。
 また、州選手権に3カ月も使うことで、全国選手権の日程がタイトになり、毎年後半は、「1週間に2試合」のスケジュールが延々続いてしまうという問題もある。
 ただし、州選手権しか活動の場がないチームも多く、州選手権の存続が死活問題のチームの圧力もあり、ここまで州選手権は存続している。
 「大事なのは全国レベルや南米レベルの大会」と言っても、州の大会で準決勝まで勝ち残り、準決勝、決勝の対戦相手が同じ州のライバルチームとなれば、ファンの方が勝ち負けに強く拘ることもあり、州選手権は存続している。