明治維新を世界史から読み解く=『日本文化』7巻、販売開始=龍馬の生涯、ポ語で初詳述

『日本文化7~明治という時代~』

『日本文化7~明治という時代~』

 サンパウロ青年図書館とニッケイ新聞は21日、『日本文化7~明治という時代~』を刊行した。今年は明治元年(1868)から150年目の節目の年。同書では人気メルマガ『国際派日本人養成講座』の著者である伊勢雅臣氏の論説を中心に、植民政策を推し進める当時の欧米諸国の動きから、世界史における明治維新を読み解いていく。

 【第1章】『黒船と白旗』では、ペリー来航時に行われた米国の軍事力を背景とした強圧的な外交の実態と、それに応じざるを得なかった江戸幕府の内情、それに対する吉田松陰の考察が紹介される。
 松蔭は明治維新の思想的源流となる重要人物で、【第9章】『吉田松陰の留魂』では、思想犯として30歳の若さで処刑された松蔭の遺言書とも言うべき『留魂録』を解説し、【第5章】『欧米から見た日本の開国』では、松蔭が黒船に乗り込み留学を直談判した事件が当時の欧米人になぜ好意的に受け入れられたのかを説く。
 【第2章】『江戸時代の庶民は幸福だった』では、幕末から明治初期に日本に滞在していた外国人らによって、当時の日本人庶民の豊かな暮らしぶりが語られる。そこでは同時に、西欧列強と呼ばれる国々がその伸張の影で庶民に強いていた悲惨な生活実態も露わとなる。
 【第3章】『アヘン戦争~林則徐はなぜ敗れたのか』、【第4章】『黒船来航の裏舞台』、【第7章】『盗まれた楽園、ハワイ王国』、【第10章】『Remember:アメリカ西進の軌跡』では、当時の世界情勢を、主に米国の視点から追っていく。
 南米やアフリカ、アジア各地の植民地化が列強によって次々と進められていく中、建国間もない米国は植民地獲得競争に明らかに出遅れていた。その遅れを挽回するためには、米国西海岸から中国を結ぶ海上交易路の確保が必要であり、その途上には通商を拒む日本があった。
 【第6章】「祖国の自由独立のための『学問のすすめ』」では、日本を植民地化させないためには学問が必要であると説いた福沢諭吉の『学問のすすめ』を解説する。
 【第8章】『坂本龍馬の生涯』ではブラジル龍馬会の協力で、明治維新の立役者として名高い坂本龍馬の生涯を詳述した『龍馬読本』(入交好保著)を掲載。龍馬に関する詳細なポ語の出版物は今までになく、日本語の読めない世代に龍馬の事績を伝えるにも格好の一冊となった。
 【第11章】『茶道ってなあに?』では、日本を代表する文化の一つ「茶道」を、ブラジル裏千家の林宗円さんが紹介する。茶道の成り立ちや道具、茶会様式の説明をはじめ、ブラジル内での普及状況についても語られている。
 全352ページ。日ポ両語書籍。販売価格40レアル。太陽堂、フォノマギ竹内書店、高野書店から購入可能。