《ブラジル》「国の発展に役立つ人材育成を」=第62回パウリスタ・スポーツ賞=25人が晴れやかに受賞

「小さな賞だが、歴史の重みと伝統が詰まっている」と語る高木ラウル社長

「小さな賞だが、歴史の重みと伝統が詰まっている」と語る高木ラウル社長

 ニッケイ新聞主催の『第62回パウリスタ・スポーツ賞』の贈呈式が4日、サンパウロ市議会の貴賓室で行われた。全19種目、特別賞8人を含む25氏に記念プレートとニッケイ新聞発刊の書籍が授与された。会場には過去最多の約500人もの来場者が集まり、盛大に式典が執り行われた。特別賞では将棋普及に尽力した川合昭5段に送られ、アラサツーバ時代に自宅に土俵を作って青少年に相撲の普及をした尾迫(おざこ)幸平さんらにも記念プレートが渡された時には、子孫や友人から大歓声が送られた。この賞は、終戦後の勝負抗争で二分化された日系社会をスポーツ振興を通じて融和させる目的で創設され、今年で62年目となる。

 スポーツ選手、功労者など先没者への黙祷が捧げられ開式。まず野村アウレリオ市議が挨拶を行った。
 野村市議は、汚職疑惑で有罪判決受けたルーラ元大統領の人身保護令(HC)を適用するか否かの審理が、最高裁で行なわれている最中であることに言及し、「式典開始時には3対1でHCへの反対票が投じられた。最高裁はブラジル人としての義務を果たした。日本移民もスポーツを通してそのような倫理、道徳をこの国に広め建国に貢献してきた」と語ると会場から拍手が起こった。
 受賞者に祝いの言葉を述べ、「人々の友好関係のため平和のため、スポーツ分野で私達が生きる時代の手本となり続けて欲しい」と語った。

「小さな賞だが、歴史の重みと伝統が詰まっている」と語る高木ラウル社長

「小さな賞だが、歴史の重みと伝統が詰まっている」と語る高木ラウル社長

 続いてニッケイ新聞の高木ラウル社長、野口総領事ら来賓も祝辞を述べ、日系政治家、日系団体代表者らから受賞者に記念品が贈られた。
 下本八郎元州議も壇上に立ち、「我々はブラジル人だが、ルーツは日本人だ。日本の考え方や文化をしっかりと継承することで、よりこの国の発展に役立つ人材になれる。柔道始め、移民が持ち込んだスポーツはまさに青少年の育成を通してそれを実行してきた。これからもぜひ続けて欲しい」と現役時代の議会演説を思わせる熱気で会場に語りかけた。
 式後、サンパウロ州アダマンチーナ文協(ACREA)から推薦され、陸上競技で特別賞を受賞した松田孟、敏江夫妻(83、74)は同文協関係者や親族に囲まれ祝福されていた。グローボ・エスポルテの高齢者特集で大きく扱われ、生活と密着したスポーツのあり方が一般視聴者から共感を呼んだ。サンパウロ市から582キロも離れた同市から、昨夜9時に出発して朝に到着した人など約20人が駆けつけた。
 ACREAで5歳以下の子供達を指導している松田夫妻は、「陸上のおかげでまだまだ健康。これからも元気がある限り子供達の指導を続けたい」と語った。
 ソフトボールで受賞した非日系のレベッカ・ジニース・ラウジーノさん(17)は、「今までの功績を認められた賞は初めて。まだ競技人口が少なく、あまり知られていないソフトボールの周知の機会にもなる」と受賞の喜びを語り、「将来は強豪の米国に進学し、選手として活躍したい」と笑顔を見せた。

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 最年少で受賞したラウジーノさんはソフトボールのブラジル代表チームの選手でもある。17年U―19世界大会(米国)で優秀代打者第3位、ブラジル青年カップで優秀代打者賞、「ホームラン女王」になるなどの活躍も。2020年の東京五輪ではソフトボール競技が予定されており、世界の舞台で活躍するラウジーノさんの勇姿が見られるかも!?