《ブラジル北部》パラー州ベレン大都市圏=集団脱獄未遂で21人が死亡=外部と呼応して囚人蜂起

2月に行われたベレン大都市圏内の別の刑務所での検分の様子(参考画像・Akira Onuma/ASCOM SUSIPE)

2月に行われたベレン大都市圏内の別の刑務所での検分の様子(参考画像・Akira Onuma/ASCOM SUSIPE)

 ブラジル北部パラー州州都のベレンの大都市圏にあるサンタイザベル市パラー州第3刑務所矯正センター(CRPPⅢ)で10日、集団脱獄が発生し、警備員と外部の協力者も巻き込んだ銃撃戦に発展、少なくとも21人が死亡する事件が起きたと、10、11日付現地紙・サイトが報じた。
 同州の治安・社会防衛局(Segup)は、死亡したのは、囚人と脱獄ほう助のため外部から刑務所を襲撃した犯人計20人と、刑務所職員1人と発表している。
 銃撃戦が収まると、現場の鑑識、囚人の数え直し、被害状況の確認が行われ、10日午後8時現在、脱獄は確認されていない。当局はライフル2丁、拳銃3丁、回転銃2丁を押収した。
 事件発生は10日午後1~2時頃で、州内で最も凶悪とされる犯罪者が収監されている棟に外部から武装勢力が接近し、爆発物で壁を破壊しようとし始めた。それに呼応するようにして、C、D棟の囚人が刑務所職員を銃撃し始め、職員6人を人質にとった。
 囚人たちは3丁の火器を使用しており、この戦闘で看守のグアルジアーノ・サンターナ氏(57)が死亡、5人が負傷した。負傷者の内、4人は入院し、3人が手術を受けた。
 ルイス・フェルナンデスSegup局長は、「今回の事件は計画的なものだ。以前にも同様の事件が起きていたため、現場の警戒レベルは常に最高レベルで、だからこそ反撃もできた」と語った。同局長は、事件に犯罪組織が関与していたか否か、犯人たちは特定の囚人を脱獄させようとしていたかに関しても不明だとしている。

以前から指摘されていた刑務所警備の脆弱性

 国家法務審議会(CNJ)は先月、同刑務所には脱獄の危険性があるとした報告書をまとめたばかりだった。
 報告書は1月23日に発生した脱走事件にも触れた上、「CRPPⅢには警備が極めて弱い地点があり、それゆえに外部の助けを借りた形の集団脱獄の試みが頻発している」とも書いている。
 CRPPⅢの収容人数は432人にもかかわらず、660人が収容されており、超過収容の改善や、刑務所を隔離するための強固な壁の早期建設が必須で、面会エリアの警備の強化も必要だと提言していた。
 パラー州知事はシモン・ジャテーネ氏(民主社会党・PSDB)が務めている。現地紙の一つはパラー州政府宛に、報告書に書かれていた警備強化策に関する質問を行ったが、10日夜の時点では返答はなかったという。