《ブラジル》景気後退終わっても続く格差=1千万人が月40レアルで暮らす

 景気後退期(リセッション)は2016年末で終わったが、2017年も月40レアルで暮らす人が1千万人おり、所得上位1%の人の平均月収は低所得者達の36倍など、社会格差は依然大きいと11、12日付現地紙、サイトが報じた。
 ブラジル地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、17年の国民1人あたりの平均月収は1271レアルで、16年の1285レアルを下回った。
 また、1035万5千人は平均月収40レアルで暮らしていた。この層の人達の16年の平均月収は49レアルだったから、極貧者は18・4%の収入減に苦しんだ事になる。
 一方、所得上位者200万人(人口の1%)の平均月収は2万7213レアルで、所得の低い方から見た労働人口の半分の平均月収(754レアル)の36・1倍だった。労働人口の半数の月収が754レアルという事実は、4500万人近い人が最低賃金にも満たない月収で暮らしている事を示している。この層の平均月収も、前年の773レアルを下回った。
 IBGE労働・所得調査班のシマル・アゼレド氏は、「労働者の数も正規雇用者も減り、雇用の質が落ちている。統計上の所得格差には変化が見られなかったが、経済が正規雇用が増えるところまで回復していない事が数字に出た」という。
 1人あたりの所得から見た社会格差を示す指数は0・549で、16年と同じだが、地域別に見ると、人口や所得が集中している南東部の格差が縮小した一方で、残りの4地域の格差は拡大。また、南東部での格差縮小は所得減少が原因で、手放しでは喜べない。
 昨年の景気回復は農業に支えられたもので、正規雇用の増加に結びつかなかった。ただし、今年の景気はサービスと工業の回復に支えられたものになる見込みで、正規雇用や所得の拡大に繋がると期待されている。
 他方、ボルサ・ファミリア(低所得世帯への生活扶助)受給世帯は、986万5520世帯(14・3%)から953万9477世帯(13・7%)にと32万6千世帯余り減少した。受給世帯構成員1人あたりの平均月収は324レアルで、それ以外の世帯の1人当たりの平均月収1489レアルを大きく下回っている。