《ブラジル》ジュングマン治安相=「リオ市議殺害はミリシア(民兵)の仕業」と発言=「正式発表は捜査後」と市警長官=捜査を信頼して待つ遺族側

故マリエーレ市議とゴメス氏の遺族たち(Tânia Rêgo/Agência Brasil)

故マリエーレ市議とゴメス氏の遺族たち(Tânia Rêgo/Agência Brasil)

 【既報関連】ラウル・ジュングマン治安相は16日、「3月のマリエーレ・リオ市議(自由と社会党・PSOL)殺害事件の主犯はミリシア(犯罪者による民兵組織)」の線で捜査が進んでいると述べたと、16、17日付現地各紙・サイトが報じた。
 3月14日夜にリオ市セントロで、「人権運動の闘士」として知られていたマリエーレ・フランコ市議が、運転手のアンデルソン・ゴメス氏と共に射殺された事件から1カ月以上が経った。事件が世界的にも大きな反響を呼んでいる中での「主犯はミリシア」発言は、ラジオ局CBNとのインタビューで行われた。
 「全ての可能性を排除せず、慎重に捜査を行っている。現在最も可能性が高いのは、『主犯はミリシア』という線だ」とジュングマン治安相は語った。
 事件から1カ月余りが過ぎても、警察からの情報公開は少なく、実行犯や殺害を指示した容疑者の名前も公表されていない事への〃風あたり〃を感じたのか、治安相は11年の女性判事殺害事件や、13年の大工アマリウドさん失踪事件(後に軍警による拉致殺害と法廷で認められ、16年に一審有罪判決)を例に挙げ、「女性判事の件は解決に60日、アマリウド事件だって90日かかっている」と弁明した。
 同日午後には、マリエーレ市議とゴメス氏の遺族たちとリオ市警長官のリヴァウド・バルボーザ氏との会談が行われ、捜査の進捗状況が知らされた。これは、治安相の発言があったからではなく、元々予定されていたものだ。
 会談に出席したのは、マルセロ・フレイショ連邦下議(リオ州・PSOL)や故マリエーレ市議の両親、市議の伴侶のモニカ・ベニシオ氏、市議の娘、故ゴメス氏の妻と義理の兄弟たちだった。
 会談を終えたベニシオ氏は、「私たちは、リヴァウド・バルボーザ市警長官との会談によって安心感を少し得られた」と語った上で、「私たち遺族は捜査が容易ではない事を理解しています。しかし、優秀な捜査チームが私たちに公正な結果を出してくれる事を保証してくれてもいます。私たちは待っています。そして真実が明らかにされるために必要な時間を待つ覚悟も出来ています」と述べた。
 ただし、フレイショ下議は治安相の発言に不快感を隠さず、「いかなる大臣や政治家も、捜査に関して軽率な発言は許されない。『だいたいこの人物が怪しい』なんていい加減な答えを我々は望んでいない」と語った。
 バルボーザ市警長官は報道陣に対し、「既に犯行の経緯の大部分を掴めているが、今は僅かな手続き的な経過を踏んでいるところ。市警は捜査が正式に終了して始めて、犯人が誰かを明らかにする」と述べた。