ニッポン移住者協会=日本庭園修復、上棟式=6月にUSPへ再贈呈

棟門の完成を祝った関係者(撮影・望月二郎)

棟門の完成を祝った関係者(撮影・望月二郎)

 【既報関連】日本移民110周年記念事業の一つとして、ニッポン移住者協会(杓田美代子会長)が中心になってサンパウロ州立総合大学(USP)構内の日本庭園修復を進めている。その一環として先月5日に「棟門」が新設され、上棟式が行われた。
 同庭園入口に建てられた棟門は、西川忠夫氏やヴァルゼン・グランデ・パウリスタのコチア青年有志が寄贈したもの。式典では大本教の藤井剛三神主の御祓いにより完成を祝った。
 式典で挨拶した杓田会長は、「日本庭園を蘇らせることができたのは、協力して下さった皆さんのお陰。今後も常に綺麗に管理していきたい。ぜひともご協力を」と呼びかけた。
 昨年6月から庭師の吉田欣司氏と息子・大希知氏が修復作業にあたっていたが、3月30日に欣司氏が心不全で急逝。それにふれ「忘れられない立派な仕事をされた」と称賛し冥福を祈った。
 当日は野口泰在聖総領事、USP都市のエルメス・ファゼル・ダ・ジャン都市長、USPの教授や学生ほか、コチア青年関係者ら100人以上が参列した。
 修復作業はほぼ完了しており、6月29日に再贈呈式を予定する。杓田会長は「ぜひ多くの方に出席頂きたい。庭園は日系社会の遺産。歴史に残る大切な日になる」と意義を語った。

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 USP日本庭園内の池には、天皇皇后両陛下(当時は皇太子夫妻)が出席された1967年の同公園の開園式当時に放流されたかもしれない、60センチ級の錦鯉が泳ぐ。錦鯉は、飼育環境が良好ならば50~70年は生きるとか。理屈上では移民60周年から半世紀の今年、当時の鯉が生きている可能性はある。ただし日本庭園が放置されていたことを考えれば、錦鯉にとって「良好な飼育環境」であった可能性は低い。とはいえ、それだからこそ、生き延びたのであれば珍しいことかも。
    ◎
 県連日本祭り会場内で7月21日に催される日本移民110周年記念式典のなかで、110周年委員会がUSPに日本庭園再贈呈をするよう移住者協会は希望していた。だが、同委員会からは断られた。復旧作業は、移住者協会やコチア青年有志らが汗を流してきたが、両団体が永遠に続くわけではない。「今後のことを考えれば、日系社会の総意として、誰かが110周年以降も続けて管理して欲しい」との思いから、110周年委員会に託したかったよう。とはいえ両団体がいったん復旧を始めた以上、存続する限りは、手入れを続けるしかなさそうだ。