今、国内サッカーが熱い!
早いもので週が明けて14日になれば、もうサッカーのW杯のロシア大会がはじまる。
そうなると、サッカー・ファンの目は当然W杯一色となる。それはこの期間中、世界のどこでも他にサッカーの公式戦をやっているところがないから当たり前といえばそれまでだ。
だが、そんな今、面白くなっているのが実はブラジルの国内リーグだったりする。全国選手権はW杯直前の13日までやっているが、「国内リーグがここまで興味深いのはいつ以来?」と言いたくなるほどだ。
その理由のひとつは、将来が楽しみな若き才能の台頭だ。サッカー王国のブラジルではいつの時代もそれなりに好選手が生まれてはいるが、今ほど豊作な時期もそうはない。
その例をあげるとすると、「ロドリゴ、ヴィニシウス・ジュニオル、パウリーニョ」という、俗に「17歳トリオ」と呼ばれる勢力の台頭だ。しかも、その活躍ぶりがすさまじい。
ロドリゴはネイマールのサントスの後輩だが、リベルタドーレス杯最年少ゴールを3月に決めると、先日3日の全国選手権の試合では早くもハットトリックを記録。既に同選手権では9試合で5得点を決めているが、過去に同じ年齢で10点を超えたのはネイマール(10点)とロナウド(12点)のみ。しかも彼の場合、あと29試合残している状態だ。この事実でいかにすごい存在かがわかるだろう。
フラメンゴのヴィニシウスはレアル・マドリッドの将来的な移籍が決まっているが、彼も同選手権で現在4得点。今年いっぱいは残留の線が濃厚で今後の活躍も期待される。ヴァスコ・ダ・ガマのパウリーニョは現在故障中だが、4月まで行なわれたリオ選手権で最優秀選手を獲得。18歳になる7月からはドイツの名門バイエル・レヴァークーゼンに移籍が決まっている。
この他にもタレントは多い。得点王ランキングを見ても1位のゲデス(アトレチコ・ミネイロ)が21歳、2位のペドロ(フルミネンセ)が20歳だ。また、W杯の緊急時の予備メンバーにも選ばれていた2人、大型ボランチで昨年のリーグ最優秀新人のアルトゥール(グレミオ)は21歳、フラメンゴの若き司令塔ルーカス・パケタ(フラメンゴ)は20歳。目立つスター選手がここまで若いことはブラジルでもそうあることではない。
そして、台頭著しいのは若手のホープだけではない。選手だけでなく、クラブの力もかなり上がって来ている。国内クラブは、とりわけ90年代以降は欧州の強豪に選手を取られ、人気も実力も弱体化していたが、ここに来て、またよくなりはじめている。
その原動力となっているのがグレミオ、コリンチャンス、パルメイラスなどのけん引役の存在だ。グレミオの実力の高さは昨年の南米一でも証明したが、ベース(下部組織)を重要視し、移籍や外国人に極力頼らずに主軸を若手で固めて戦うことで結果を出してきた。その姿勢の揺ぎ無さは今季も証明し続けている。
コリンチャンスはクラブ世界一になった2012年以降、現セレソン監督のチッチ氏に薫陶を受けたコーチング・スタッフが脈々と機能し続けている。2014年の屈辱の2部転落から立ち直ったパルメイラスは補強にも新人育成にも金に糸目をつけない欧州ビッグ・クラブ流の経営方式で近年急速に復興してきた。この3チームはブラジルのみならず南米でもいまやトップクラスのチームだが、そこにフラメンゴやサントスなども続いている。その成果もあり、リベルタドーレス杯では決勝トーナメント進出の16チーム中、6つをブラジル勢が占める事態にもなっている。
W杯直前でも、後でもいい。国内サッカーに注目してみてはいかがだろうか。(陽)