オザスコ日本祭り2万人来場!=リンス市長「日伯繋ぐ重要な行事」=40万枚の折り紙の龍展示も

式典の様子

式典の様子

 ブラジル日本移民110周年を記念して、オザスコ日伯文化体育協会(荒木進会長)は「第9回日本祭り」を9、10の両日、同会の特設会場で開催した。主要舞台では多岐におよぶ演目が披露されたほか、充実した日本文化体験に多くのブラジル人客が押し寄せ、両日で延べ2万人が来場した。なかには明治維新150年や、2020年東京五輪を意識した意欲的な演目や展示も見られ、盛況を博していた。

迫真の龍馬踊りで会場を沸かせた池芝代表

迫真の龍馬踊りで会場を沸かせた池芝代表

 「この祭りは市において、日本とブラジルを繋ぐ重要な役割を果たしている。開催を支える600人のボランティアに拍手を」――9日午後3時の開会式で挨拶したロジェリオ・リンス市長は、日系人の活躍を賞賛し、祭りの重要性をそう強調した。
 同市は三重県津市と姉妹都市交流を締結しており、16年に交流40周年を迎えた。今年は津市の一行が訪問する予定。市内の観光名所となっている津市広場の活性化に取組んでいることに触れ、「いつまでも日本祭りが続くことを期待したい」と締め括った。
 野口泰総領事は「祭りの規模に非常に感銘を受けている。市において日系人が尊敬されていることに感激している」と語った。また、翌年に天皇陛下ご退位や20年東京五輪が控えていることに言及し、「新たな時代を迎えるなかで、日伯関係が一層発展していくことを期待したい」と挨拶した。
 運動場に1万平方メートルの広さの屋根付会場が特設され、一足早く七夕飾りを下げ、来場客の目を楽しませていた。中心舞台では種々の演目が披露され会場を沸かせていたが、明治維新150周年を記念した演目も。
 池芝流日本舞踊教室(ACAL舞踊部)は全3曲を披露。そのうち、池芝緑苑代表は、幕末の動乱期に薩長同盟を締結させ、明治維新の立役者となった坂本龍馬の曲「龍馬残影」の個人踊りを披露した。
 「夢のつづきがあるならばおまえと見たい最後まで」と続く歌詞に合わせて、暗殺されて床に倒れ魂が彷徨うさまを描いた迫真の演技にどっと拍手に沸いた。池芝代表は「舞踊刀を振るい、何度も床に倒れる場面もあって、龍馬踊りは大変」と汗を拭った。
 同祭で毎年人気を博しているのが、充実した日本文化体験だ。折紙、切紙、習字、漫画から、陶芸、盆栽、将棋まで、体験を通じて理解が深められるようになっている。

注目を引いた山本さんのモジュール折り紙の作品

注目を引いた山本さんのモジュール折り紙の作品

 なかでも注目を引いていたのが、山本イサオさん(61、二世)さんが作成した折り紙作品の数々だ。特に一番の大作という40万枚の折り紙から構成された長さ8・3メートルの龍は35カ月をかけて制作された。
 山本さんが得意とするのが、立体構造を作るモジュール折り紙。定年退職後に趣味として独学で学びはじめ、「初めの3年で立体構造は、自在に組み立てられるようになった」という。
 20年東京五輪に向けて折り紙で作成された「Tokyo 2020」の横断幕は、横幅18メートル以上の連続した一つの紙に切り目を入れ、そのなかに2020羽の鶴が折られ、一つに繋がっている創造的作品。「人生はあっという間。やりたいと思ったことはやっておかないとね」と豪快に笑った。