「日本移民の日」に寄せて=在サンパウロ日本国総領事 野口 泰

野口総領事

野口総領事

 「日本移民の日」を迎えるに際し、日本人のブラジル移住が110周年を迎えたことを、皆様方と共に喜び、心より祝意を表します。
 そして、祖国日本を離れてブラジルに移住され、幾多の苦難を乗り越えた末に今日190万人とも言われる日系社会の繁栄へと繋がる道を切り開いてこられた先人の方々に対し、心からの敬意と追悼の意を捧げます。
 昨年10月にサンパウロに着任以来、各地の日本人移住地を訪問させていただき、日系社会の方々からお話を伺う機会を設けさせていただきました。
 それぞれの移住地では、言葉では言い尽くせない苦闘、そしてそれらの困難を乗り越えられ今日の成功を築かれた歴史を直接伺うことができ、改めて110年という歴史の流れの中で連綿と続いて来た日系社会の歴史を感慨を持って受け止めることが出来ました。
 また、どの地域におかれても皆様が日本文化の伝承及び日系子弟への熱心な教育に取り組まれている様子に感動いたしました。これからの世代を担う若者たちが、日系人としての誇りを持って、日伯両国の社会で大いなる活躍をされることを願っています。
 本年はブラジル日本人移住110周年です。この記念すべき年を皆様と共にお祝いすると共に、日伯両国の絆が更に強まることを願っております。サンパウロはブラジルにおける経済・文化の発信地としての役割を担い、その内容は年々多様化し、また重要度も増してきております。
 その中で、日系社会の皆様はブラジル社会において確固たる信頼と実績、高い評価を得ておられます。
 先般、当地を訪問された河野太郎外務大臣も、ブラジルにおける日系社会の存在の偉大さに感銘を受けておられました。これらはひとえに皆様方のご努力の結果であり、ブラジルのみならず世界に於ける日本の地位向上に大きく寄与されているものと誠に嬉しく感じます。
 ジャパン・ハウスの成功も日系人の方々が培ってこられた日本に対する信頼が、その背景にあると考えます。
 日本人移住110周年という大きな節目に際し、私共も、皆様と一体となって取り組み、更なる日伯両国の相互理解を深めることを目指し、あらためて気持ちを引き締めてまいります。
 結びに、改めて先人のご遺徳を偲び、皆様方お一人おひとりのご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げると共に、日系社会の益々のご発展を願い、挨拶とさせていただきます。