「日本人移住の日」を祝して=駐ブラジル日本国特命全権大使 山田 彰

山田大使

山田大使

 「日本人移住の日」を迎えるにあたり、全ブラジルの日本人移住者・日系人の皆様に心よりお祝いを申し上げます。
 1908年6月18日に笠戸丸がサントス港に到着したその日から、本年で110周年になります。今日では、全ブラジルの約190万人の日本人移住者・日系人の皆様が、ブラジル社会にとって不可欠な存在として確固たる地位を築いておられます。
 この110年の間、日本人移住者・日系人の皆様、御家族、コミュニティが、力を合わせ助け合い、創意工夫と忍耐・努力により艱難辛苦を乗り越えてこられたことに対し、深甚なる敬意を表します。
 私は、昨年8月に着任以来、可能な限りブラジル各地の日系社会を訪問し、様々な行事に参加してまいりました。ブラジルにおいて、日本文化・伝統が日系社会において脈々と受け継がれ、またブラジル社会に広く普及していることに改めて感銘するとともに、日系人の新しい世代の皆様が、伝統文化のみならず、現代の新たな日本の魅力を発信し、日本とブラジルの懸け橋となっていることを強く肌で感じており、心より嬉しく思います。
 ブラジルは、地理的には日本から離れていますが、日本人移住者・日系人の皆様がこれまで体現し、次世代に継承し培ってきた日本という国への信頼を基礎に、人的絆に裏付けられた伝統的な親日国です。日本とブラジルは、依然として不確実性が多い現在の国際社会において、法の支配、民主主義、基本的人権等の普遍的価値を共有する戦略的パートナーです。
 本年5月には、ヌネス外務大臣が日本を訪問し河野外務大臣と会談を行い、その数日後には、河野大臣がサンパウロを訪問しジャパン・ハウスで講演を行い、また、日系人の方々と交流の機会を持ちました。
 この記念すべき日本人移住110周年の本年は、3月に皇太子殿下が世界水フォーラム御出席のためブラジリアを訪問され、ブラジル各地の日系社会の代表者の方々とお会いになりました。7月には、眞子内親王殿下がブラジルを御訪問になり、ブラジル各地を訪ね、様々な行事に御出席の予定です。
 本年が、日本人移住者及び日系人の方々のブラジルにおける歴史を振り返る年となるとともに、将来にむけた日本ブラジル関係の更なる発展の年となることを期待しております。
 日本人移住者と日系人の皆様の益々の御健勝と御活躍をお祈り申し上げます。