春の叙勲=在聖総領事館管内で4人に栄誉=移住地の発展、日伯関係の強化=「日本で評価され嬉しい」

(左から)ナガサワさん、早川さん、大竹さん、新宅さん

(左から)ナガサワさん、早川さん、大竹さん、新宅さん

 平成30(2018)年春の叙勲伝達・祝賀会が20日午後3時から、在聖総領事公邸で行われた。同館管内に在住の4人が対象となり、邦人叙勲では早川正雄さん(93)が旭日双光章、外国人叙勲では大竹マサシ・ルイさん(80、二世)が旭日小綬章、新宅義美さん(80、二世)と、オズワルド・ユージ・ナガサワさん(72、二世)が旭日単光章をそれぞれ受章した。式典には受章者の親族や友人らが集まり、喜びを分かち合った。

 両国歌斉唱の後、野口泰総領事から勲記と勲章の伝達が行なわれた。総領事は各氏の功績を紹介し、「ここに至るまでに幾多の困難があったと思う。並々ならぬ努力は日系社会のお手本。長きに渡って日伯関係の発展に貢献したことに感謝します」と称えた。
 早川さんは元バウルー日伯文化協会会長で、同協会の日本語授業を学年別にするなど、日本語教育に貢献。記念誌作成や日本文化、スポーツの普及にも努めた。
 挨拶で「自分の学歴は日本で小学校を卒業しただけ。しかし立派な先輩たちがいて、その指導があった。今の私があるのは先輩方、仲良くしてくれる友人、後輩のおかげ」と謝意を述べた。
 大竹さんはブラジルを代表する建築家の一人。両国の友好発展と日系人の地位向上に貢献した。
 「在日ブラジル大使館などを日本の建物を設計し、ブラジル文化を日本に持ち込んだ。ブラジルでの活動が主だが、日本から評価してもらえたことは嬉しい」と話した。
 新宅さんはマリリア日系文化体育協会の初代会長として同地の日本祭りやスポーツ活動を推進。また養鶏農家の連携強化と技術向上に努め、養鶏業発展に貢献した。
 小学生のとき日伯が国交を断絶し、各地の日本語学校が閉鎖された。マリリアも例に漏れず日本語指導を禁止させれたが、夜中、大人たちがこっそりと教えた。「公の場で日本語を使用して、たくさんのひとが逮捕された。それでも親や兄たちには日本語を絶やしてはいけないとの強い思いがあった。これは私だけがもらったものではない」と言いながら愛おしそうに胸の勲章をなでた。
 ナガサワさんはブラジル戸田建設の取締役として、進出日本企業にビジネス環境について情報提供を行った。「日本企業に限らず、関係のある欧米の企業にもブラジルのビジネスについてアドバイスをしてきた。44年間、少しでも事業展開に貢献できればと思って働いていただけ。まさか栄誉ある勲章をもらえると思っていなかった」と話した。
 また同日夜には、日系団体主催の叙勲祝賀会が文協で行なわれた。

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 旭日小綬章を受章した大竹ルイさんは、これまで400点以上の設計を手がけてきた。大きな船をモチーフにしたサンパウロ市の「ホテル・ユニーク」が特に有名。記者が「自身の作品で最も思い出深いのはどれか」と尋ねると、「自分の子供に順番をつけられますか? 私にとってどの作品も大切です」と笑って返した。「日本には何度も訪れた。日本の近代建築はすばらしい。日伯関係を強めるような仕事をしたいね」と話した。