サンパウロ州検察=犯罪組織PCC75人を起訴=エシェロン作戦の捜査基に=13州で100人殺害?

様々な指令が出されていたとされるヴェンセスラウ刑務所(Edson Lopes Jr./GESP)

様々な指令が出されていたとされるヴェンセスラウ刑務所(Edson Lopes Jr./GESP)

 【既報関連】サンパウロ州検察局が、6月14日に行われたサンパウロ州警察のエシェロン作戦に基づき、サンパウロ州に本拠を置く国内有数の犯罪組織、州都第一コマンド(PCC)構成員75人(男性70人、女性5人)を起訴したと6日付現地紙が報じた。
 首領のマルコ・ウイリアムス・H・カマッショことマルコラには、16年12月に特別懲戒制度(RDD)が適用され、昨年は彼を含む幹部14人がプレジデンテ・ベルナルデスの刑務所に隔離された。だが、これで弱体化との予想に反し、プレジデンテ・ヴェンセスラウ刑務所に残った準幹部級の囚人7人が弁護士らを介して命令を出し、各地で暴動や殺人などを起こさせていた。
 エシェロン作戦はヴェンセスラウ刑務所の下水道で発見された外部との連絡用メモや、電話の盗聴などで進展。同刑務所内の準幹部7人を含む、PCC構成員らの動きを追った結果、用意された起訴状は569ページに上るという。
 検察によると、PCCは構成員をリクルートしたり、構成員に関する情報を更新、管理したりするための部署を設け、爆弾製造講座を開設、殺し専門のチームを作るなどして、サンパウロ州内外の構成員を思いのままに動かしていた。2017年に準幹部が指示したライバル組織関係者ら殺害は少なくとも13州に及び、約100人が犠牲となった。5州では刑務所職員や警察官殺害も起きた。
 起訴状の中には、9月9日午後8時48分に、情報管理の担当者が構成員の1人に電話をかけ、通称や組織加入の日付や場所、現在の所在地などを確認した記録や、17年2月18日に送られ、新しい女性構成員を獲得する必要を強調し、女性部門強化を命じた文書などが含まれている。
 また、爆弾の作り方を指導するから人員を送れという、サンパウロ州外の構成員に呼びかけたメッセージもあった。爆弾製造講座は、将来、刑務所などを襲う時のためのもので、攻撃の指示が出次第、直ちに行動に移れるようにしようとしていた。
 殺し専門の部署は「シントニア・レストリタ」と呼ばれ、訓練され、実行力のあるメンバーのみで構成されている。この部署はチームで行動し、各州の構成員が送った標的の情報を基に、上層部が州外から派遣したメンバーが殺害を実行するというルールも判明した。同チームはリオ・グランデ・ド・ノルテ州やミナス・ジェライス州、アラゴアス州、サンタカタリーナ州、パラナ州などで任務を遂行しており、標的をなぶり殺しにしろといった指示も出ていたという。
 PCC構成員はサンパウロ州だけで1万900人。国外も含む州外の構成員はここ4年間で6倍に増え、2万人を超えている。