《ブラジル》「教育は最良の投資」と強調=ノーベル平和賞のマララさん=非就学の少女統合の道探る

イビラプエラでの討論会でのマララさん(Rovena Rosa/Ag. Brasil)

イビラプエラでの討論会でのマララさん(Rovena Rosa/Ag. Brasil)

 2014年に17歳でノーベル平和賞を受賞した人権運動家、マララ・ユスフザイさん(12日で21歳に)が9日、サンパウロ市イビラプエラ公園講堂での講演と討論会に参加したと9、10日付ブラジル国内紙やサイトが報じた。
 マララさんは1997年にパキスタン北部のカイバル・パクトゥンクワ州スワート県で誕生、女子学校経営者の父親の影響で学校に通っていた。
 しかし、2007年に武装勢力のパキスタン・タリバン運動がスワート県の行政を掌握し、恐怖政治を開始。特に、女性が教育を受ける権利を奪い、教育を受けようとする人や推進しようとする人の命を優先的に狙い始めた。彼女は2009年にペンネームでBBC放送に投稿し、タリバンによる女子校破壊活動を批判し、女性への教育の必要性や平和を訴えた。
 だが、パキスタン軍がタリバンを同県から追放後、同国政府が本名を公表。政府主催の講演会でも女性の権利などについて語ったため、激怒したタリバンが2012年10月9日に、学校帰りのスクールバスを襲い、頭と首に銃弾2発を浴びせた。マララさんは同月15日に英国の病院に移され、手術も受けた。退院は13年1月で、2月には再手術も受けた。
 だが、13年7月に国連本部で、銃弾では自分の行動は止められないとして教育の重要性を再度訴えた。また、14年に史上最年少でノーベル平和賞を受賞した際は「この賞は終わりではなく、始まり」と表明。2017年4月には国連平和大使にも任命された。
 今回のブラジル訪問は、2013年12月にユネスコとパキスタンが設立したマララ基金の働きをラテンアメリカにも広げるためで、ブラジル各地から選んだ、学童期の少女を中心とした女性教育に取り組んでいる活動家3人に70万ドル(270万レアル)を投資する。具体的には、黒人や先住民、貧困地域在住で幼少期から働かされるなどの理由で教育の機会を失っている少女ら150万人に教育の場を与え、働き、自立する事を促す方策を見つける事を望んでいるという。
 9日の討論会では、銃撃戦などで授業が受けられないファヴェーラ(スラム街)の子供の例を挙げ、「治安がない場所では教育も成り立たない」と強調、「政府や当局は恐怖心や危機感を持たずに教育を受けられるような状態を生み出すための姿勢を明示すべき」とした。また、「女性が教育を受ける事は経済や民主主義の発展にも繋がる最良の投資」で、選挙戦で論じるべきと訴え、「国民の声が政治を動かす」と会衆を鼓舞した。
 10日は、支援予定者の1人が住むバイア州サルバドール市を訪問し、現地の人と交わった。