サンパウロ総合大学で学生自殺が頻発=メンタルケアの専門機関設置

 今年5月から6月にかけて、サンパウロ総合大学(USP)では、学生の自殺が少なくとも4件発生した。USP内部では対策会議が開かれ、学内にメンタルヘルスケア室(ESM・精神保健福祉室)が開かれることとなったと、1日付現地紙が報じた。
 USPが全学規模で学生の精神的ケアのための機関を設置するのは、これが初めてだ。ESMは全学生が利用でき、必要に応じてカウンセラーとの面談も設定される。当面はUSP内の社会福祉監督室内に置かれる。
 ESMに該当する機関はこれまで、医学部、歯学部、数学研究所、コンピューター研究所のように、学部や研究所単位で設置されていた。
 当面は学部単位での活動も継続される予定で、今年、2件の自殺が発生した哲学・文学・人文科学部では、学生同士の会話が増えた上、9月には講演会も行われることになった。
 自殺した学生の一人と親しかったルイーザ・ブルガレリさん(20)は、「大きな喪失感を覚えている」と語る。彼女は、友人の自殺が単発的な出来事として扱われ、他人事で終わらないためにも、学内での議論は大切だと考えている。
 サンパウロ州内陸部リベイロン・プレット市のUSP看護学部教諭のケリー・ヴェダーナ氏は、「学生の自殺が起きたとき、大学側は、自殺を否定し、通常通りに活動を続けようとしてはならない。学生や関係者は身近な人達の自殺を容易に消化できない」と語り、「自殺は口にすることがはばかられ、正確な情報が明らかになることがない。しかし、自殺が起きた時はそれを隠そうとするのではなく、それに至った背景などを知ることが必要」としている。
 自殺はブラジルの若者の死因の4位を占めている。