眞子さまのお言葉=在トメアス日系社会歓迎行事にて=7月27日 トメアス文化農業振興協会

 ご列席の皆様、1908年の6月に、最初の移民船「笠戸丸」がサンパウロ州のサントスに入港してから110年が経ち、「ブラジル日本人移住110周年」という記念すべき年に、ブラジル政府のお招きによりブラジルを訪れ、皆様にお会いできましたことを、大変嬉しく思います。ブラジルは私にとって、地理的な距離は遠くとも、幼い頃より親しみを感じる国でございました。そして今回、皇族の公式訪問としては、初めて、トメアスを訪れ、このような心温まる歓迎行事を開催して頂きましたことを、誠にありがたく存じます。
 パラー州トメアスは、アマゾン移住発祥の地です。1929年に開始した日本人移住が、この地の日系社会の始まりと伺いました。そして来年は、「日本人アマゾン移住90周年」という節目の年を迎えられます。先ほど、トメアス開拓先没者慰霊碑に献花をし、原生林を切り開いて開拓に力を尽くされた方々と、トメアスの日系社会が歩んでこられた道のりに思いを馳せました。
 日本から長い船旅を経てアマゾンへ入植された方々は、大変な苦労をされながら、生活を築かれたと伺っております。入植された方々に続き、そのご子孫も、直面する数多くの困難を勤勉さと誠実さをもって乗り越えてブラジルの発展に貢献し、社会の厚い信頼を得てこられました。
 そして、紆余曲折を経ながらも、胡椒や熱帯果実などを特産品として生産してこられました。今、日本では、トメアスのカカオを原材料とするチョコレートや、トメアスのジュース工場で作られたアサイ・ジュースが多くの人たちの味覚を楽しませてくれています。また、環境に資するアグロフォレストリーも進められているとのことで、あらゆる世代の日系社会の人々が、農業を中心に多様な分野で活躍されていることを嬉しく思っております。さらに、トメアスでは、盆踊り大会も開催されるなど、日本の文化が広く受け入れられていると聞き、とても喜ばしく感じました。
 日本からの移住者をあたたかく受け入れてくださったブラジルの方々に感謝するとともに、今日の日系社会を築き、大切に支え、両国の架け橋となってこられた皆様のご努力に、心より敬意を表します。そして、皆様が歩んでこられた長い道のりに思いを馳せるとともに、その歴史が、未来を担う世代にも大切に引き継がれていきますことを願っております。
 終わりに、皆様がお元気で活躍され、日系社会が一層発展していきますように、そして両国の友好関係がますます深まりますことを願い、私の挨拶といたします。
 ありがとうございました。
 ムイント・オブリガーダ。