《サンパウロ州》紅班熱の死者17人に=診断の遅れで重症化か

 保健省が2日、サンパウロ州では、今年に入ってからの紅班熱による死者が17人に達したと発表したと同日付現地紙サイトが報じた。
 「フェブレ・マクローザ(febre maculosa)」は、カピヴァラや牛、馬に寄生するマダニが媒介する、リケッチア・リケッツィと呼ばれるバクテリアが引き起こす病気だ。日本語ではロッキー山紅班熱と呼ばれる。
 主な症状は急な高熱、体の痛み、頭痛、赤い発疹で、他の病気と間違われ易い。発疹は手足から始まり、全身に広がる。症状が出るのはマダニに刺されてから3~12日なので、発症前にカピヴァラなどがいる場所に行った人は、医師にその事を伝えた方がよい。
 最近死亡した例は、サンパウロ州内陸部サウト市に住んでいたラウラ・ヴィセンテさん(15)だ。ラウラさんの場合、紅班熱と診断された時には症状がかなり進んでおり、9日間入院したが、7月29日に亡くなったという。
 アシス市在住で7月15日に亡くなったカウアン・フランシスコ・ドス・サントス君(8)も、3度目の診察でようやく紅班熱と診断されたため、手遅れとなり、助からなかった。アドウフォ・ルッツ研究所が行った血液検査の結果、紅班熱が死因であった事が確認されたのは7月31日だった。
 保健省によると、この病気は南東部や南部でよく見受けられ、マダニに刺されたら一刻も早く皮膚からマダニを取り除く必要がある。また、発症後の診断が早いほど、治療効果が大きいという。
 治療には抗生物質が使われ、症状が出たが確認はまだという時も、早めに投薬を始めた方が良いが、マダニに刺されたが症状は出ていないという時は、薬を使う事は勧められていない。
 近年は、カピヴァラが市街地に出現する例も多くなっており、症例も農村部と市街地の両方で報告されている。通常は、マダニの活動期である春から夏に多い病気だが、ラウラさん達のような例もあり、草むらなどに出向く時は服装にも注意する必要がある。
 サンパウロ州で今年確認された患者は60人で、死者は17人。昨年の同州での患者は165人、死者は58人だから、死者急増という状況ではないが、用心に越した事はない。ブラジル全体での今年の死者は32人に上っている。