アルチスチカ文化劇場が再建へ=10年前に火災で焼失も

 1950年代からサンパウロ市民のコンサートや演劇の場所として愛されながら、2008年8月に火災で焼失したままになっていた、同市中央部コンソラソンにあったクルツーラ・アルチスチカ文化劇場(芸術文化劇場)が、同じ場所に再オープンする予定で、現在は、再建のための工事が行われている。
 アルチスチカ文化劇場は1950年代に建設され、市民の演劇やコンサート会場として愛されていた。1960年代にはアメリカのソウル・ミュージックの神様、レイ・チャールズが公演を行ったほか、ブラジルの名優でグローボ局の長寿コメディだった「ア・グランデ・ファミリア」で主演をつとめていたマルコ・ナニーニが5年にわたり、大ヒット喜劇演劇「オ・ミステリオ・デ・イルマ・ヴァップ(イルマ・ヴァップの謎)」を上演していた場所としても有名だった。
 だが、2008年8月17日、同会場は火災にあって全焼。以後は長い間、廃墟だけが残っていた状態だった。
 だが、まもなく丸10年が経とうとする現在、その跡地で劇場再建のための工事がはじまっている。
 関係者によると、この再建工事は総工費1億レアルと見られており、アルチスチカ文化協会の会員と一般市民からの寄付によってまかなわれる。
 新しく生まれ変わる劇場のコンサート会場は屋内コンサート専門になる予定で、クラシック音楽からポピュラー音楽まで幅広く受け入れて行くとのことだ。椅子席は750席ほどになるという。
 また、元の劇場がそうだったように、新装の劇場も4階建てのビルになる予定だ。
 新劇場の完成は2021年を目標にしているという。
 市内の名所のひとつ、ルーズベルト公園の近くにあるこの劇場のすぐ傍に住んでいたダリオ・ブエノさん(71)は、「この会場には本当によく通っていた。『イルマ・ヴァップ』ももちろん見たし、(名司会者の)ジョー・ソアレスのショーも見に行った。演劇のパンフレットも買いためていて、40冊くらいはあったな」となつかしそうに語っていた。(5日付アゴラ紙より)