両親の涙が涸れるのはいつ?

 3日未明、ニカラグアで医学を学び、研修で当直勤務を行った帰りに機銃掃射を受けて死んだライネイア・リマさんの遺体がペルナンブコ州に着き、昼前に埋葬が行われた▼この件は4日付サイト記事にも書いたが、リマさんの帰郷を心待ちにしていた母親が、大学が特別に出した卒業証書を手に娘への思いを語った部分などは涙を誘い、何度ももらい泣きした。遠く離れて暮らす娘を案じぬ親はいない。医者にという夢を叶えるため、言葉も出来ない国に渡って苦学を重ねた娘ならなおさらだ。娘の死を知った日から葬るまで、両親がどれだけの涙を流したかと思うと、また涙腺が緩む▼リマさんの例は特別だろうが、2日には、親元から離れて、家の娘と同居中の女性が交通事故に遭った。信号が変わって彼女が歩き出したら信号無視の車が撥ねたもので、運転手は「(病院に運ぶために)車を取りに行く」と言って、車まで行くとそのまま逃げたという▼子供が熱や痛みに苦しめば代わってやりたいと思うのが常だった。だから「欧州に住む彼女の母親が知ったら…」と考え、胸が潰れる思いをした翌日、リマさんの記事で再び涙した。5日にその知人を訪問したら、「昨日から痛みが和らいだ」と微笑んだ後、「警察では『加害者が誰だかわからない事故で何をやれと言うんだ』と言われた」と失望した表情も見せた▼リマさんの母親は弾傷で苦しむ娘の姿こそ見ていないが、それは心痛軽減を意味しない。母親は葬儀の場で「生きている限り、犯人逮捕と処罰を待ち続ける」と語った。ニカラグア側は本人が不用意に車を動かしたから起きた事件としており、両親の涙が涸れる事はなさそうだ。(み)