クリチーバ=世界初、振動で光る自転車道=音力発電会社「南米全体に展開を」

クリチバ中心街に導入された発電床

クリチバ中心街に導入された発電床

 歩行者や自転車が通行する際に床面に発生する振動を電力に変換させる世界初の日本最先端技術が、環境都市で知られるパラナ州都クリチーバで話題を呼んでいる。7月20日、同市中心街セントロ・シビコ区の自転車道や歩道に、JICA民間連携事業により、音力発電会社(速水浩平社長)の「発電床」が試験的に導入された。

 「スピーカーは電気を使って音を出すが、音をスピーカーに伝えることで発電できないか」。幼少期から発明好きだった速水社長は、まさに〃逆転の発想〃で音力・振動力発電の研究開発を始め、大学院在籍中に06年に同社を設立した。

 同社の中核技術となっているのが「発電床」。振動を圧電素子に伝えて発電させる仕組みだ。

 今事業ではその技術を使い、夜間に歩行者が通ると点灯し、歩道の先を灯す「歩道誘導灯システム」を設置した。自転車道と歩道の交差点で自転車の振動を無線センサーで伝えて標識を灯し、歩行者に注意喚起を促すシステムなども導入されている。

 発電床であれば外灯よりも費用が抑えられ、さらに電力削減にも繋がる。クリチバ市のサイトによれば、ラファエル・グレガ市長は「近い将来、同市の全ての自転車道に導入できれば」と高く評価する。

 今回、自転車や歩行者の通行量及び進行方向を把握する通行情報調査システムも導入されており、今後、2年間に及び有効性の実証確認が行われる。

来社した速水社長

来社した速水社長

 工事のために来伯した速水社長(37、栃木県)は「海外での事業はこれが初めて。それも屋外でこれだけの規模のものは日本国内でも例がない」といい、「工事中も興味を持って話しかけてくる人が多かった。ちょっとした観光名所になれば」と期待を寄せる。

 「発電床」は防犯対策にも利用でき、ベランダの床や手摺に埋め込み、外部からの侵入者があった場合に防犯ブザーを鳴らす製品もあるという。防犯対策の需要が高い当地ならでは、様々な用途が期待できそうだ。

 速水社長は「このクリチーバでの事業がショールーム効果を生み、いずれは南米全体にも横展開できれば」と展望を語った。なお、同社は現地企業と提携し、将来的な現地生産を検討中している。同社の製品については、同社サイト(http://www.soundpower.co.jp/)まで。